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第791話
あのあと昼寝して、起きたらもう夜で、約束通り城崎の作ってくれたお粥を食べて、そのあとは一緒にお風呂に入った。
城崎のTシャツを着て、城崎に抱きしめられながら眠ったからか、朝起こしてもらうまで熟睡していた。
「先輩、準備できましたか?」
「え、あっ…、うん…。」
7月14日正午12時。
昼食を終えて、外出の準備をした。
今から那瑠くんに会いに行く。
今回は城崎も一緒だ。
きっと大丈夫…。
「服、変じゃない…?」
「似合ってる。強いて言えば、首元もう少し出してもいいかも。」
「こっ、これ以上出したら昨日城崎が付けたキ……」
言いかけて気づく。
こいつ、もしかしてわざと見せようとしてる…?
案の定、城崎は俺に付けたキスマークを指でなぞった。
「見せつければいいじゃないですか。」
「恥ずかしいだろ!」
「ん〜。俺は結構効くと思うけどな?」
「ぅぁっ…」
キスマークの上にキスされて、反射的に体を縮こまらせた。
この距離感、久々だと慣れない…。
「行こっか。」
「どこで会うんだよ?」
「なんかカフェらしいですよ。俺が声荒げてたら注意してくださいね。」
「想像できない…。」
手を繋いで炎天下の中を歩く。
女の子が日傘をする理由がわかるな…。
ジリジリと肌を刺すような陽射しに、ない影を探した。
「暑いですね…。」
「うん…。」
「あー…、暑……。」
城崎はずっと暑いって言ってるのに、俺の手を離そうとはしなかった。
繋いだ手はじっとりとしているけど、相手が城崎だからか不快感はない。
しばらく歩くと駅に着く。
「どこのカフェ?」
「会社の近くみたいです。カフワっていうお店。先輩、知ってます?」
「え……。あ、あぁ…。」
城崎の口から出た言葉に、一瞬言葉が詰まった。
そのカフェは初めて那瑠くんと話したあのカフェだと分かったから。
緊張感が一気に増した。
「先輩?」
「あ…、何?」
「何かあった?顔色悪い…。」
城崎の手が俺の頬を撫でる。
俺の些細な変化にも、すぐに気づいてくれる城崎。
言ってもいいかな…。
「そのカフェで…、那瑠さんと一度話したことあって…。正直苦手っていうか…。」
「は?あー、もう…。あいつそういうとこ小賢しいな…。先輩が萎縮するの分かってんだよ。腹立つ。場所は俺が指定しなおします。」
城崎はイライラした様子で誰かに電話をかけた。
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