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第797話

「ただいま。」 「おかえりなさい、先輩。」 家に着いてすぐ、城崎は俺を抱きしめた。 やっぱり落ち着く…。 今までずっと頭の奥の方でモヤモヤしていた不安も、全部消えていく。 これで俺と城崎の間を邪魔するものなんて、何一つなくなったわけだけど……。 ………キス、しないのかな? 「先輩、お風呂入ろっか。」 「え。お、おう…。」 城崎の唇を見つめてたら、城崎は突然そう言って中に入っていった。 あれ…? 前までなら、キスする流れじゃ…? ちょっと寂しい気持ちになりながら、洗面所で服を脱ぐ。 裸になって浴室に入ると、城崎は既に湯船に浸かっていた。 「今日は濁り湯の入浴剤入れてみました。どうですか?」 「………」 なんか変。 裸を見られるのが恥ずかしくて、いつも隠したがるのは俺の方だ。 でも今日はそんな素ぶり見せてないし、城崎は俺の裸見たいっていつも言うのに…。 「せ、先輩っ?!」 「なんだよ。」 「あっ、洗わないんですか?」 「後でいい。」 軽く体を流して湯船に浸かり、城崎に跨って体を寄せる。 城崎は焦ったようにバタバタしていたが、俺が跨ると大人しくなった。 目の前の首筋には、俺が付けたキスマークが綺麗に残っていた。 「ふ…っ」 舌でなぞると、城崎は身体を震わせて声を漏らした。 何これ。楽しい…。 「…ちょっ!ぁっ、先輩っ!!」 「ん…、んっ」 「こら!」 首筋を舐めていたら、両肩を掴まれて引き剥がされた。 城崎は顔を真っ赤にして、少し息を荒くしていた。 「ダメ!」 「なんで。」 「な、なんでって…!」 おそらく、いや、絶対に興奮してる。 尻に硬いものが当たってるから、間違いなく。 嫌悪感とかはない。 ほんの少しお尻を後ろにずらすと、尻の割れ目に沿うように硬いソレが触れる。 「俺、上がります!!」 「え?」 「先輩はごゆっくり!!」 ザバンッと水面に波が立つ。 城崎は急に立ち上がったと思えば、股間を隠して風呂場から逃走した。 え……? いつもと立場逆じゃね…? なんだか置いてけぼりを食らったような感じで、俺は納得いかないまま頭と身体を洗って浴室を後にした。

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