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第798話
服を着てリビングに行くと、城崎がソファで待っていた。
隙間なく隣に座ると、驚いたように俺を見る。
「バカ。」
「え?」
「バカバカバカバカ。バーーーカ。」
「ちょ、え、何??」
ムカついたから罵倒した。
困惑してる。ざまあみやがれ。
「なんで触ってくれないんだよ…?」
「えっ。」
「なんでキスしてくんないの?」
「ちょ、わっ…?!」
城崎をソファに押し倒す。
キスしたい…。
そう思ってるのは俺だけなのか?
「キスしてよ…。」
「で、でも…っ」
「俺なんかとしたくない…?」
求められないと不安になる。
今まで高校生みたいに盛ってた城崎が、あんな状態でキスすらしてこないなんて…。
祈るように城崎を見下ろすと、ぐるんっと視界がひっくり返った。
あれ…?
俺、押し倒されてる…?
「あーー、もう!!なんなんですか?!」
「へ…?」
「したい!!したいですよ!!すっげーしたい!!ずっとしたかった!!」
勢いにびっくりする。
そんな逆ギレするほどキスしたかったのか…?
「じゃあなんで…?」
「嫌われたくなかったからですよ!やっと帰ってきてくれたのに、引かれたらどうしようって!」
「迎えにきてくれた時したじゃん。」
「あのときは感情抑えきれなくてどうしようもなくて…っていうか…。そもそも、キスしたら普通のキスじゃ終われる自信ないから。」
「え…?」
「先輩の唇こじ開けて、余すとこなく全部味わいたい。喘ぎ声止まんなくなっちゃうくらいとろとろになるまで口内犯して、俺以外じゃ満足できない体にしてやりたい。」
具体的すぎる欲望に、目が点になる。
でも、これぞ城崎って感じ。
「城崎。」
「なんですか!お風呂の時だってあんなに煽って!!俺怒って……!!」
城崎の頭を引き寄せて、唇が触れるだけのキスをする。
びっくりしたのか、城崎は固まった。
「怒ってんの?」
「……………」
「俺、城崎にキスして欲しくて、割と自分なりに頑張ったんだけど…。」
恥ずかしいけど、裸で城崎に跨ったりとか、自分から誘うようなことした。
堪らずキスしてくれんじゃないかって。
「〜〜っ!!………理性飛びそう。」
「飛ばしていいよ。全部俺が……、うわっ!?」
「いいよって言ったのは先輩だから。」
頭を抱える城崎に最後の追い討ち。
城崎は俺の手を頭の隣で縫いつけ、噛み付くようにキスをした。
チリっとした痛みとともに、待ち焦がれた城崎の唇が俺を支配した。
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