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第799話

俺と城崎の唾液が絡む。 クチュクチュと、いやらしい音が耳に響く。 「ん…ぅ、は…っぁ…」 「好き。愛してる。」 「んんっ…ぁ、ん…」 「先輩、愛してるよ。」 城崎は愛の言葉を囁いては、俺の唇を覆い、また甘い言葉を囁く。 俺の顔を掴んでいた城崎の両手は、徐々に下に降りていき、裾から服の中に侵入した。 「ぁっ…、城崎…っ、あっぁ♡」 「可愛い……。大好きだよ。」 「…ゃっ!そこ…、あっ、んむ…」 否定の言葉を吐こうとすると、唇が重なって拒否することを阻止される。 本気で否定する気はない。 背骨を指でなぞられて、思わず腰が浮いた。 「逃げないで。」 「に…、逃げてない…っ!」 腰を掴まれて引き寄せられる。 ぴったりと隙間なく抱き寄せられたら、どうしたって城崎の熱いのが伝わるわけで…。 「城崎……」 「ごめん。もう少しこのままでいさせて…。」 グリグリとお腹に当たる硬い感触が、俺をどんどん変な気分にさせる。 腕を城崎の後頭部に回し、次は俺からキスを始める。 「んっ…んん…」 「下手くそ。」 「えっ。」 「もっと舌絡めて…」 「んふっ…♡」 ぬるりと城崎の舌が俺の舌を絡めとる。 主導権をすぐ取られてしまうのは前からだったけど、こんな気持ちよかったっけ…? やばい…。もっとずっとこうしていたい。 足を城崎の腰に絡ませ、動けないようにすると、城崎は少し顔を赤くして目線を逸らした。 「……これ、ダメだ。」 「………?」 「………抱きたくなる。」 耳元で、掠れた声で囁かれたその言葉で、俺の体温は一気に上がった。 城崎になら抱かれたい。 城崎に触れられたい。 気持ち良くしたい。 絡めていた足に力を込め、さらに強く引き寄せる。 「は…っぁ、先輩…ッ……」 城崎はギラギラとした目で俺を見下ろした。 荒く乱れる息が、城崎の余裕のなさを物語る。 俺なんかでこんなにも興奮してくれているのだと、それが無性に嬉しかった。 「城崎……」 「マジでダメ。」 「どうして…?」 「そ、それは……」 城崎が口籠もり、俺は何かしでかしてしまったのかと不安になる。 表情に出ていたのか、城崎は慌てて俺を抱きしめた。

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