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第801話

「俺……」 「無理させてごめんなさい…。」 城崎は申し訳なさそうな表情で、タオルで俺の体を拭いた。 なんでそんな顔すんだよ…。 不安になるじゃんか…。 城崎の首に手を回し、ぎゅっと抱き寄せて耳元で尋ねる。 「気持ち…よかった……?」 「……すげぇ気持ちよかったデス。」 城崎はカタコトで返事して、俺をぎゅーっと抱きしめ返した。 よかった…。 「ちょっと新しいタオルとってきますね。」 城崎はしっとりと濡れたタオルを持って、リビングから出ていった。 一人になって、周りを見て急に恥ずかしくなってくる。 俺……、潮吹いたんだよな……? じゃないと、こんなにビショビショにならないよな…? 割と高かった合皮のソファ。 最悪だ……。 バスタオルを持ってリビングに帰ってきた城崎は、俺を見て首を傾げた。 「先輩?」 「あっ…、ご、ごめん!ソファ、すげー汚した…。」 「あはは。そんなの気にしてたんですか?大丈夫。手入れしときます。」 ふわりと肩からバスタオルをかけられ、お姫様抱っこされる。 何この甘い雰囲気…。 「怒んねぇの…?」 「え?怒る理由ありますか?」 「高かったじゃん…、あのソファ…。」 「手入れしたらなんとかなるでしょ。それよりも、先輩も気持ち良くなってくれてよかった。」 城崎は俺の額や頬、唇にチュッチュとキスを落として、俺をベタベタに甘やかす。 ダメだ…、このままじゃ俺、ダメ人間になっちまう…。 「俺のこと、甘やかし過ぎじゃね?」 「え〜。そうですか?あ、そうだ。先輩、今日はどっちで寝る?」 「…………ベッド。」 「やったー♪じゃあソファ軽く手入れしてから、俺もすぐに行くから、先輩は先に寝ててくださいね。」 寝室の大きなベッドに寝かされ、着替えも渡された。 先に寝ててと言われたけど、待ってる以外の選択肢があるか? …ないだろ。 着替えてから、枕元で三角座りしながら城崎を待つ。 30分以上してから、寝室のドアが開いて城崎が入ってきた。 「城崎っ!」 「え?!先輩、まだ起きてたの??」 「普通待ってるだろ。」 「だったらもっと早く終わらせればよかった…。ごめんなさい。」 「ううん。片してくれてありがと。明日仕事だろ?もう寝ようぜ。」 「うん。」 城崎に抱きしめられながらベッドに入る。 今日も疲れた。 疲れたけど、これでやっと全部終わったんだとホッとした。 おまけに城崎に気持ち良くされちゃったし…。 「城崎……」 「ん…?」 「おやすみ。」 おやすみ前のキス。 触れるだけのキスをしたつもりだったのに、いつの間にか舌が入ってきて深いキスに変わっていた。

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