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第802話
いろいろ発散して体もスッキリしたのか、いつも以上にぐっすり眠れた。
目を開けるとスーツ姿の城崎が、ベッドに座って俺の頭を撫でていた。
スーツ……?
「はっ…!仕事…!!」
「先輩はお休みしていいんでしょ?」
あ、そうか…。
体調が良くないなら、週明けに出てこればいいって言われてたんだ。
「でも、迷惑かけるし…。」
「大丈夫。みんな順調ですよ。」
「でも……」
城崎と一緒に居たい…。
そんなこと言ったら、ウザイって嫌がられるかな…?
「定時で終わらせて、ダッシュで帰ってきます。」
「うん……」
「明日から週末だし、先輩はしっかり体休めて?先輩の分までしっかり頑張ってきますから。」
エスパー使えんのか?
早く帰ってきてくれるの、すげー嬉しい…。
「ありがとう…。」
「へへ。お礼は体で払って欲しいな〜?」
「か、体っ?!」
「キスでいいですよ?♡」
な、なんだ…。
びっくりした。
「もしかして、それ以上のことしてくれるの?」
「っ!!」
動揺して顔を逸らすと、城崎が耳元で囁く。
驚いてベッドの隅に逃げると、城崎はクスクス笑っていた。
「冗談です。じゃあ行ってきますね。朝の分の薬は、朝食と一緒に机に置いてますから。」
「ありがと。いってらっしゃい…。」
「…!」
ベッドから立ち上がった城崎の手を引いて、頬にキスした。
いってらっしゃいのキス…。
城崎はニマニマ嬉しそうに口元を緩めながら、俺の唇にチュッとキスして家を出た。
一人になった家の中は静かで寂しくて、何するにしてもとりあえず先に空腹を満たそうと思いリビングへ向かう。
ホットケーキとヨーグルト、それにカットフルーツ。
好きなものが並んでいて、俺は全部残さず食べた。
一緒に用意されていた薬も飲んで、ソファに座る。
「あ……」
昨日ぐっしょりと濡らしてしまったソファ。
城崎の手入れのおかげか、シミが分からないほどきれいだ。
ソファに横になって目を瞑ると、昨日のまぐわいが鮮明に思い出される。
気持ちよかったな…。
それに、城崎の嬉しそうに笑った顔とか、イク前の余裕なさそうな顔とか…。
「はぁ…。」
城崎は家を出たばかりなのに、考え始めると頭がそればっかりになってしまった。
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