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第806話

もう…。泣きそう……。 「昨日、そんなに気持ちよかったんだ?」 声から分かる。 城崎がすっげー意地悪な顔で、ニヤニヤして俺のこと見てるって。 もうどうにでもなれ。 そんな気持ちで正直に頷く。 「じゃあ俺の代わりに玩具使って、兜合わせして気持ちよくなってたの?」 「……っ、ごめ…なさ…ぃ…」 なんかもう恥ずかしすぎて、とりあえず謝った。 拷問だ……。 「ううん。それで?気持ちよくなれたの?」 よしよしと頭を撫でられる。 気持ちよくなれたかって…? 足りなかった。 城崎なしで、一人で気持ちよくなるのは無理だった。 首を横に振ると、城崎は頭を撫でる手を耳に移動し、俺の耳たぶを触る。 「嘘ついてもバレバレですよ。タオル汚れてたし。」 「…そ…じゃなくて……」 「うん?」 「……オモチャ…だけじゃ…、無理で……」 「どういうこと?」 城崎の声でイキました。 恥ずかしい。言えない……。 「教えて?」 甘く囁く大好きな声。 抗えない。 「ぇ…と……、城崎、電話くれただろ…?」 「うん。」 「…その……、城崎の声で……」 それ以上は言えなかった。 というか、察してほしかった。 顔があげられなくて、城崎の胸に顔を埋める。 「俺の声でイッたの?」 言うなよ…。 首を縦に振ると、城崎は俺を体から引き剥がし、顔の横で手を押さえつけた。 「先輩…、ごめん。」 「んっ…」 唇が触れ合う。 触れ合う…というよりは、ぶつかるに近い。 歯が当たって城崎の唇が切れた。 「はっ…、ごめん…、余裕ない…っ」 「んっぁ、んん…、んぅ…っ」 激しく重なる唇。 血の味がして、城崎痛いんじゃないかなって思っていたのも束の間、そんなこと考える余裕もなく唇を貪り合う。 硬くなった熱いソレがぐりぐりとお腹に擦り付けられて、余裕なく俺を求めてくれる城崎が愛おしいと感じる。 「城…崎っ、触って…、んんっ!ぁっ♡」 「っ…、あんま煽んないで…」 「ぁっ♡あ♡城崎っ…、はっぁ…」 下着の中に入ってきた大きな手が、俺のペニスを包んで激しく上下に動く。 どっちの唾液か分かんなくなるくらい、キスはどんどん激しくなって、舌が離れてはまた熱く絡まる。 一人でするより何十倍、いや何百倍も気持ちいい。 嬉しくて、心が満たされる。 好きな人に求められることがすごく幸せで、俺は溢れる涙を止められなかった。

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