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第809話
………………。
俺は寝落ちそうと思ってすぐに寝落ちたらしい。
暗い寝室に俺一人眠っていた。
精液やローションでベタベタだったはずの身体は綺麗になっていて、服は城崎の部屋着を着せられていた。
少しだけ大きめのTシャツとジャージが、なんだか包まれてる気がして照れ臭くなる。
トイレに行くと、リビングからいい匂いが漂ってくる。
リビングのドアを開けようとすると、ちょうど同じタイミングでドアが開いた。
「びっくりした……。」
俺が立っていて相当驚いたのか、城崎は目をまん丸にして胸に手を当てた。
「いい匂いしたから目ぇ覚めた。」
「今日はチキン南蛮です。あとマカロニサラダと春雨スープ。」
「ふふっ…。マジいい奥さんなんだけど。」
毎日のように豪華な献立。
俺っていい彼氏に巡り会ったんだなと、城崎を抱きしめる。
「俺が妻兼大黒柱になりますね!」
「おいおい。それじゃ俺の立場どうなるんだよ。大黒柱は俺にさせろ。」
「先輩のお金は自分のために使ってもらってもいいと思ってるので。」
「城崎のが若いんだから、いろいろしたいことあるだろ。俺はもう歳だしさ。」
「歳って、まだ30でしょ。俺がしたいことって、先輩に関わることばっかりなんで。だからいいんです。すぐに昇進してもっといっぱい稼ぎます♡」
一家の大黒柱という役目さえ城崎が請け負ったら、俺には何の役目が残るっていうんだ?
俺だって男だし、城崎より年上だし…。
いいとこ見せたいのに。
むぅっとしていると、唇にキスされた。
「ほら、早くしないとご飯冷めちゃいますよ?」
「食う。けど、さっきの話は保留な。大黒柱は俺がやるんだから。」
「え〜。いいのに。」
「ダメ。ほら、飯だろ。」
話を無理矢理終わらせて、席に着く。
チキン南蛮もサラダもスープもめちゃくちゃ美味い。
城崎と過ごしてたら健康的な生活送れる。
「せーんぱいっ♡お風呂一緒に入ろ?♡」
「いいよ。」
「じゃあお風呂できるまで、テレビ見ましょ!ここ座って!」
「え〜…。」
「早く〜。」
ソファに座る城崎の膝の上に座って、抱きしめられながらテレビを見る。
ヨガ特集がやってて、ソファから降りて一緒にヨガをした。
城崎はインストラクターみたいに途中から俺の姿勢チェック始めてたけど。
「すげーボディタッチの多いインストラクターだな?」
「俺だから触っていいんですからね?もしジムとか行ってこんな触られたら通報ですよ!?」
「しねぇよ(笑)」
「せめて俺に連絡ね?!」
「はいはい。」
ヨガで汗をかいた頃、ちょうどお風呂ができあがり、一緒に湯船に浸かる。
風呂上がりは一緒に布団に入った。
「先輩」
「ん〜…?」
「明日、診察終わったらデートしませんか?」
デート……、デート?!
「い、行きたいっ!」
「やった♪じゃあ決まりですね♡」
城崎は嬉しそうに何度も俺にキスを落とす。
いつのまにか濃厚なキスに変わっていて、興奮と楽しみでなかなか寝付けなかった。
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