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第811話

診察予約時間から10分ほど遅れてクリニックに到着。 先生は快く俺たちを出迎えてくれ、無事に診察を終えた。 「やっと仲直りできたんですね。」 「ご迷惑おかけしました…。」 「いえ、とんでもない。本当によかったです。」 診察後、先生が少し話そうと提案してくれた。 ビジネス的な気遣いではなく、心から心配してくれていたらしい。 先生の安心したような声や表情からもそう感じた。 「きっと少しずつ望月さんの体調も戻るでしょうね。」 「本当ですか?」 「ストレスって、割と露骨に症状として体に出るんです。ほら、吐いたりとか食欲が出なかったりとか、望月さんも思い当たることあるでしょう?」 「まぁ、はい…。」 「ストレスと一緒になくなると思いますよ。まぁでも、念のため薬は今のままでいきましょう。来週まで問題なければ減量します。順調にいけば年内には薬も離脱できると思います。」 「ありがとうございます。」 治療方針を聞いてホッとして城崎を見ると、城崎も安心した顔で俺を見つめていた。 薬があって安心することもあったけど、やっぱり城崎の愛を実感するのが一番の治療薬な気がするし。 「では来週の同じ時間に予約しておきますので、またいらしてください。」 「はい。よろしくお願いします。」 席を立ち、診察室を出る前にもう一度先生を振り返ってお辞儀をする。 先生はニコニコしながら手を振った。 「デート楽しんでくださいね。」 「えっ?!」 「ふふ。」 城崎を見上げると、城崎はぶんぶんと首を振っていた。 どうやら城崎が先生に言ったわけではないらしい。 「エスパーですか…?」 「いや、お召し物が素敵なのであるいは、と思って。」 「今からランチして、プラネタリウムに行くんです。」 「ちょ、城崎?!」 「いいじゃないですか。どうせバレてるんだし。」 先生に気合い入ってる格好だと思われたのも少し恥ずかしいし、男二人でプラネタリウム行くとか、なんて思われるか…。 おそるおそる先生を見ると、変わらずニコニコ笑っていた。 「プラネタリウムいいですね、懐かしい。私も久々に家族と行こうかな。」 「お子さんはいらっしゃるんですか?」 「いや、まだ。でも預かっている子がいましてね。今度誘ってみます。」 「また感想教えてくださいね。」 「えぇ。望月さんと城崎さんも楽しんで。」 診察室から出て会計を済ませ、クリニックを後にする。 外は蝉の声と刺すような日差しで、歩くのすら億劫になってしまうほどの暑さだった。 「先輩、何食べたいですか?」 「とりあえずプラネタリウム近くのどこか入ろう…。暑すぎる…。」 「そうですね…。」 電車に乗って十数分。 プラネタリウムが併設されたショッピングモールで食事をとることにした。

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