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第813話
「マジでごめんっ!!寝る気はなかったんだ!!」
「だからいいんですって。先輩にリラックスしてもらうためにプラネタリウム選んだんだから。」
「でも…」
城崎に起こされた時には上映は既に終わっていた。
お金も全部城崎が出してくれたのに、俺はなんてこと…。
デートでやらかして、恋人に幻滅されて振られるとか絶対嫌だ……。
「ごめん…。」
「怒ってないですよ。次行くとこで寝たら怒るかもですけど。」
「次行くとこ…?わかった。寝ない。」
「約束ですよ。」
次行くところがどこか分からないけど、もう絶対寝ない。
城崎に連れられて、ショッピングモールを出て少し歩く。
辿り着いた建物は、シンプルだけど大きくHOTELと書かれた立派なラブホテルだった。
「……………」
「すみません。朝からいっぱい我慢したからご褒美が欲しいです。」
「うっ…。正直でよろしい。」
無言の圧をかけると、城崎は子犬のような甘えた顔でおねだりしてきた。
可愛すぎる……。
城崎は部屋を選んでお金を入れ、出てきた鍵を持って俺の手を引いた。
「家じゃダメだったのか?」
「えー…、あー、我慢できなくて…。」
「ふーん?」
なんかそこまで切羽詰まってるようには見えなかったけどな…。
部屋に入って、荷物を置く。
「先輩、先にシャワー浴びますか?汗かいて気持ち悪いでしょ。」
「え、あ…。じゃあ、うん。」
ほら。
切羽詰まってる時だったら、入った瞬間たがが外れたように俺を求めるじゃん。
じゃあ尚更、なんで家じゃないんだろう。
「城崎…」
「ん?」
「一緒に…入る……?」
「へっ?!!」
城崎の服の裾を掴んでそう尋ねると、城崎は驚いていた。
そんな驚くことか?
最近一緒に入るようになってたし。
「いいんですか?」
「うん。」
「じゃあ、よろしくお願いします。」
優しく抱きしめられて、なんだかホッとする。
目を見つめていると、何も言わず唇が重なった。
「んっ…」
「先輩…、脱がせてもいい…?」
「…ぅん…」
服を脱がされて、一糸纏わぬ姿になる。
明るいから全部丸見えで恥ずかしい。
城崎も服を脱ぎ、俺の腕を引いて浴室へ入った。
「んっ、ふ…」
シャワーで汗を流しながら、貪り合うようにキスをする。
濡れた前髪をかきあげて、オールバックにしている城崎。
いつもと違うワイルドな雰囲気に、心臓がバクバクする。
「先輩、好きです。大好き。」
「お、れも……っ」
唇が重なるたびに好きって気持ちが溢れ出す。
好き。大好き。
俺だって一緒だ。
城崎のことが世界で一番大好きだ。
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