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第843話

城崎は俺の髪を撫でて、幸せそうに目を細める。 「全部()()ったよ。」 「ほ…んと……?」 「うん。頑張ってくれてありがとう。」 城崎は俺の目尻にキスをして涙を掬う。 嬉しい…。 心まで幸せで全部満たされていく。 「動いていい?」 こくんと頷くと、城崎は俺の手を握って腰をゆっくりと動かし始めた。 目を開けると、愛おしそうに俺を見つめる城崎と目が合う。 「み、見ないで…」 「なんで?」 「は…、恥ずかしい…からっ…、あぁっ!」 中を擦られるたびにゾワゾワして、痺れるような快感に声を上げる。 繋いだ手にぎゅっと力を込めると、城崎も握り返してくれる。 「気持ちいいね。」 「き…もちぃっ…、もっと…」 「ここ?」 「ああぁっ♡♡」 前立腺をカリが当たる浅いところで揺さぶられ、あられもない声が漏れる。 城崎が腰を揺らすたび、中が全部擦られて、俺の体はそれを全部快感として拾うから堪らない。 痛みはあるけれど、そんなもの忘れてしまいそうになるくらい、幸せと気持ちよさが優っている。 「城崎…っ、城崎っ」 「はっ…ぁ…」 「出してっ…!気持ちよくなって…!」 「クッ…」 城崎は俺を抱きしめながら震えた。 俺の中で気持ちよくなってくれたんだ。 城崎は一旦俺の中からモノを出し、ゴムを外して括ってゴミ箱に捨てた。 一度達したのにまだまだ萎えそうもないソレは、またゴムを被って俺の後ろに当てがわれる。 「もう一回、いい…?」 「当たり前だろ…っ」 「綾人、好き。愛してるよ。」 また裂けるような痛みとともに、城崎が中に入ってきた。 気持ちいい。幸せ。 でも何度も揺さぶられると、一時的に気持ち良さが優ってしまう。 このままじゃ、快感を求めること以外何も考えられなくなりそうだ。 その前に、自分が快楽に溺れてしまう前に、伝えておきたい。 「な…つき……っ」 「っ!」 「……夏月…っ、俺と出会ってくれて……、俺なんかのこと……、好きになってくれて…、ありがと…」 城崎を抱きしめると、城崎の目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。 「夏月…?」 「ひっ…ぅう…」 「ちょ、どうしたんだよ…?!」 「あ、愛してま"ずゔ〜!!大好き…!もう何があっても絶対に離しませんから"ぁ"〜!!」 柄にもなく涙声でマジ泣きする城崎に、幻滅するどころかどうしようもなく愛おしく思えて、心を込めて口付けを交わした。

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