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第855話

「え。ここが…」 「涼真…、ごめん…。」 「な、何で謝んの?今から何が起こんの?」 タワマンを見上げて呆然とする涼真に謝る。 城崎は涼真に心の準備をさせてあげることもなくエレベーターに乗り込んだ。 「この人でなし!」 「酷い言われようだな〜。」 「え?ちょ、城崎??ここ何処?浮気相手の家とか言わないよな?!」 うぅ…。ごめんな、涼真…。 おまえが敵う相手じゃない…。 城崎がインターホンを押すと、倉科さんが現れた。 「ん?夏月?」 「あぁっ!この人!!」 やっぱり…。 涼真の見た彼女の浮気相手って、倉科さんだったんだ…。 「何の用だ?」 「え〜っ?夏月くん来てるの?ってことはもっちーさんも〜?」 「城崎さん?どうして?」 「おい。圭、(みお)。」 倉科さんの後ろからひょこっと顔を出したのは、相変わらず可愛らしい圭くん。 そして、あの超美人の涼真の彼女だった。 「澪さん!!」 「え?涼真?どうしてここにいるの?」 「何?どういうこと?圭くん公認なの??」 「何が〜?」 俺は頭を抱えた。 最近の子は浮気公認の恋愛とかアリなの?? いや、圭くんって俺とそんなに歳離れてないよな? 分かんないよ〜…。 「おい、夏月。なんだこの状況?」 「えっとですね。まずこの人は柳津さん。澪さんの彼氏です。で、綾人さんと柳津さんは、澪さんと透さんが浮気してると思ってます。」 「はぁ?」 「へ?!城崎、涼真の彼女のこと知ってんの?!」 余計頭がこんがらがる。 城崎と涼真の彼女が知り合い? 涼真の彼女と倉科さんも知り合い…? 知り合い……? 「綾人さん、そろそろ気づきました?」 「まさか…」 「倉科(くらしな) (みお)さん。透さんの双子の妹です。」 「えぇっ?!!」 俺は驚いて固まった。 そして俺の後ろでは、涼真がはぁ〜っと安堵の溜息をついていた。 「何?涼真ってば、私が浮気してたと思ってたの?」 「ごめんなさい。澪さん、俺に医者ってこと隠してたでしょ?だから余計に疑心暗鬼になっちゃって…。」 「あら。バレてたの?」 「最近帰りが遅いから…。病院まで見に行ったら患者さんの話聞こえちゃって…。それに、その人の車に乗り込んでいくもんだからつい…。」 涼真はバツが悪そうにそう答えた。 勘違いするよな、そんな状況。 俺も安心して大きな溜息をついた。 「まぁとりあえず中入れば?」 「圭くんが美味しいクッキー焼いてくれてるのよ。涼真もどう?」 「おじゃまします…。」 ぞろぞろと部屋の中へ入って行き、よく分からないメンバーでお茶会が始まった。

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