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第857話
「海だー!!!」
「ちょ、綾人さんっ!待って!」
最高気温37度。
ジリジリと照り付ける日差し。
キラキラと輝く水面。
夏って感じで最高に良い。
「おー。綾人はしゃいでんなぁ。」
「望月さんって子どもみたいな一面もあるのね。城崎さんも目が離せないわけね。」
「もっちーさーん!待ってー!俺も行くーっ!」
「おいこら。お前は先に日焼け止めだろうが。」
倉科兄妹の車に乗ってきた俺たちは、ちゅんちゅんより一足先に海に到着した。
白のBMWと黒のポルシェ…。
BMWは倉科さんの愛車で、もちろん圭くんと二人乗り。
俺と城崎は澪さんのポルシェに同乗させてもらった。
イタズラされないか心配すぎてレンタカーにしようと提案したが、そんなのにビビってたら外車なんて買わないと一蹴された。
二人が気にしないならと、俺は車を気にすることをやめて海に楽しみを集中する。
「捕まえた♡」
「わっ?!」
波打ち際で足首まで水に浸かっていると、後ろから抱きしめられる。
よろけて体重を預けると、城崎はしっかり俺を抱き止めた。
「綾人さんも日焼け止め塗らないとダメでしょ?」
「悪い。海見たらテンション上がっちゃって…」
「去年もそうでしたよ。可愛いから許しますけど。」
城崎は俺の腕を引っ張って砂浜に戻る。
砂浜では涼真と倉科さんがパラソルを立てたりと陣取りをしてくれていた。
「ありがとうございます。」
「望月さん、意外ですね。」
「すみません。お恥ずかしいところを…」
「夏月が可愛がるわけだ。」
クスクス笑われて、顔が熱くなる。
よくよく考えたら、30にもなって海でこんなにはしゃいでるなんて恥ずかしいよな…。
これから気をつけよ…。
「澪さん!脱いじゃダメ!」
「どうして?」
「周りの男に澪さんの肌見せたくないから!!!」
「せっかく海に来たのに。それに暑いし。」
「ダメったらダメー!」
隣のパラソルでは、涼真と澪さんが痴話喧嘩をしていた。
澪さんスタイル良っ…!
こればっかりは涼真の意見に賛成だ…。
「なぁ…、あの集団、顔面偏差値ヤバくね…?」
「男率高くねぇか…?」
「えーっ!めっちゃイケメン多いんですけど!!女の人一人しかいないし声かけていいかなー??」
周りの視線がドッと集まる。
そりゃそうだよな…。
顔面偏差値高すぎる倉科兄妹に城崎、圭くんも可愛いし、涼真だってモテる方だ。
どうするんだよ、これ…。
「綾人さんっ♡日焼け止め塗ってあげます♡」
城崎はキラキラした笑顔で、俺に日焼け止めを見せてくる。
わぁ。俺でも知ってるレベルの高い日焼け止め…。
「いや、いいよ。自分で塗るし。」
「俺に塗らせて!」
「恥ずかしいじゃん。」
「透さん達もしてるしいいじゃん。」
城崎の指差す方向を見ると、パラソルの影の下で何やら如何わしいことが行われていた。
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