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第864話

あの後、圭くんが倉科さんの指示で綺麗に割って、ちゅんちゅんに順番が回らないままスイカ割りは終了した。 久々に食べたスイカはとても甘くて美味しくて、8人で分けたから量もちょうど良くて、いい感じにお腹を空かせて夕方を迎える。 「雨降らなくてよかったな。」 「ラストはバーベキューですね!」 ビーチの一角に設置されたBBQスペース。 絶対混んでいたはずなのに、よく数日前で予約取れたな…。 予約をとってくれたのは倉科さん。 金持ちって何かコネとかあるんだろうか…? 「もっちーさん!どのお肉が好きですか〜?」 「圭。おまえは危なっかしいから座っとけ。」 「なんで!俺だって肉くらい焼けるし!!」 「火傷したらお仕置きだけど?」 「うっ…。わかったよ…。」 圭くんは俺の分の肉を焼いてくれようとしたらしいが、倉科さんに止められていた。 城崎といい、倉科さんといい、過保護すぎると思う。 圭くんはぷくーっと頬を膨らませながら、俺の手を引いて椅子に座った。 「もっちーさん、お喋りしよ。」 「え、俺も焼くの手伝ってくるよ。」 「なんでー!!」 「望月さん、悪いけど圭に付き合ってやってください。」 「はぁ…。」 男なのに動かないのは俺的になしなんだけど、今は仕方ないか…。 拗ねた圭くんの話を聞いたらどこかしら手伝おう。 「倉科さん、過保護だね。」 「そうだよね?!!もう!俺だって火ぃくらい使えるし!男だし!!多少ケガしても平気だし!!」 「わかるわかる。」 「たまには俺の気持ちだって尊重してほしい…。」 「そうだね。でも、それだけ圭くんのこと大事にしてくれてるんだよ。見てて分かるよ。」 「そうかもだけど…」 圭くんは倉科さんに大切にされてるって分かってるんだと思う。 だからこそ強くは言い返せなくて、倉科さんの言うことを聞いてる。 俺も城崎が過保護だから、圭くんの気持ちは分かる。 「火がダメなら、買い出しにでも行く?」 「行く!!あ…。でも、透が一緒じゃないと怒られるかも…。」 「俺が一緒に行くからいいでしょ。」 「いいかなぁ?」 「交渉してみよう。」 肉を焼いてる倉科さんに訊ねてみる。 少し渋ってはいたけど、買い出しくらい…と許してくれた。 「やったー!もっちーさん、行こ行こ!」 「俺も行きます。」 「「へ??」」 二人で近くのスーパーに行こうとすると、後ろから声がする。 この声は…。 「城崎……」 「二人じゃ何かあった時心配だから。」 「おまえなぁ…。大人の男二人だぞ?何が心配なんだよ。」 「二人じゃ…っていうか、そばにいないと不安なんです…。一緒に行きたい。」 「……わかったよ。圭くん、いい?」 「いいよ!」 色々あったからな…。 こいつが不安になる気持ちも汲み取れないわけではない。 城崎も行くなら安心だと、ずっとそわそわしていた倉科さんも胸を撫で下ろしていた。 スーパーで飲み物と缶ビール、それに追加の肉と野菜を買ってみんなの元へ戻った。

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