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第866話
程よい揺れ、大好きな匂い、温かい体温。
髪を撫でる大きな手は、俺の大好きな彼氏のものだとすぐに分かる。
「城崎ぃ…」
「綾人さん、起きたの?」
「好き…。大好きぃ…。」
「はは。まだ寝惚けてる?」
ぎゅぅっと抱き付くと、クスクス笑いながら頭を撫でてくれる。
ん〜、気持ちいい…。
頭がふわふわして…、あぁ、そっか。
俺、お酒飲んだんだっけ。
「ここどこ…?」
「車の中。澪さんが運転してくれてる。」
「…………っ!」
二人きりじゃないことを理解するのに少し遅れた。
ハッと姿勢を正すと、運転席に澪さん、それに助手席に涼真がいて、ダラダラと汗が流れる。
「あ…、えっと…、今のは……」
「望月さんって、酔うと甘え上戸なのかしら?」
「綾人は昔っから酒癖は良いとは言えないからなぁ。」
涼真だけならまだしも、澪さんにまで見られていたのが恥ずかしくて俯いた。
城崎は嬉しそうに俺の肩を抱いて離さなかった。
「明日一日仕事頑張ったらお盆休みですね。」
「うん…。」
「恥ずかしいの?」
「当たり前だろ…。」
「もうすぐ家に着きますから。後でいっぱい甘やかしてあげます♡」
前の二人の存在がないかのように振る舞う城崎。
羞恥心とかないのか、こいつは?
でも俺だって、まだ頭ふわふわしてるし、本当は城崎に甘えたい…。
しばらくして車が停車し、城崎に抱えられて車から降りる。
「ありがとうございました。」
「いいえ。二人とも仲良くね。」
「澪さん、ありがとう。ワイン今度送りますね。」
「期待してるわよ。」
「柳津さんも。ありがとうございました。」
「おう。また明日な。」
車が見えなくなるまで見送って、エレベーターに乗った。
城崎の腕の中落ち着く…。
また寝かけていると、唇にキスが降ってきた。
「また寝るの?」
「んっ…、もう部屋着いた?」
「着いたよ。お風呂入る前に綾人さんのこと食べていい?」
俺のこと…食べる……?
「やだ…。」
「えー。どうして?」
「汚い…。汗とか砂とか…、それに海水で塩っぱいぞ?」
「うーん…。それもいいけど、じゃあいっぱいキスしよ?」
「ん。キスする…」
ソファに下ろされて、そのまま城崎の唇が重なる。
気持ちいい…。
感じるままに声を出していると、城崎の手がTシャツの裾から入ってくる。
「んぁ…、やぁ…」
「乳首好きでしょ?」
「好き…っ、好きだけど…」
「けど、何?」
「ぇっち…、お風呂入ってからがいぃ…」
乳首なんて触られたら絶対もっと触れてほしくなる。
それならちゃんと体を綺麗にしてからがいい。
城崎のシャツを握って懇願すると、大きな溜息をついて俺を抱き上げた。
「可愛すぎます…。待てないから今日はシャワーでいい?」
「うん…。」
「じゃあ行こっか。」
城崎に連れられてシャワーを浴び、髪を乾かして、ベッドに沈む。
間接照明だけ付けて、もういつでも始められる。
そんな状態になって、prrr…と城崎のスマホに着信が入った。
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