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第905話

8月17日。 今日は…、いや、明日は……、やっと……。 「望月さ〜んっ!なんでそんな怖い顔してるんですかっ!」 「わっ?!ちゅんちゅん…?」 「正解でーす!海の日の写真のデータ持ってきたっすよ!」 今日の夜が待ち遠しすぎて真剣にキーボードを叩いていると、後ろからちゅんちゅんが飛びかかってきた。 手にはUSB。 わざわざ焼いてきてくれたらしい。 「サンキュー。」 「望月さん映ってる写真、ほぼ城崎さんが隣にいて草です。」 「真顔で言うな。」 パソコンに挿してデータを確認すると、たしかに俺の映ってる写真のほとんどに城崎がいた。 城崎が俺を見つめる瞳は恋人そのもので…。 恥ずっ!! バタンっとノートパソコンを閉じると、ちゅんちゅんは首を傾げた。 「あれ?気に入らなかったですか?」 「いや、家で見る…」 「あ〜っ♪恥ずかしくなっちゃったんすね?♪」 「うるせー…。」 図星なので否定もできず顔を赤くしていると、城崎がちゅんちゅんを睨みつけながらこっちに来た。 俺の隣に座ってお弁当を出す。 「先輩っ、ご飯食べに行きましょ♡」 「ちゅんちゅんが震えてるぞ。」 「先輩を揶揄っていいのは俺だけですから♡」 「す、すみませんでしたっ!!」 ちゅんちゅんは涙目になりながら、光の速さで逃げていった。 まだ慣れないのか…。 城崎と一緒に昼食を食べに場所を移動する。 空いた会議室に入って、隣に座ってお弁当を開ける。 「綾人さん、休み申請通りました?」 「うん。通ったよ。」 「よかった〜。土日だから基本休みですけど、突然仕事ぶっ込まれたら最悪ですもんね。」 二人きりになって名前呼びに戻る城崎。 何度も注意したから、さすがに学んだらしい。 「それより今日は何時にどこで飲むんだ?」 「それがね、もーめちゃくちゃ意地悪なんですよ!!22時にAquaだって。俺たちのこと日付超えるまでさせる気ないですよ!鬼!!」 「はは…。」 22時って、普通に次の日仕事だからキツイんですけど。 19時から飲んで22時に解散して、帰ってすぐに俺たちがヤるとかいうパターンの対策だよな? 抜け目なさすぎ…。 「こうなったら近くのホテル取りますか…。」 「え、なんで?別にいいじゃん。帰ってからでも。」 「透さんのことだから、解散23時半絶対過ぎますよ?!俺は0時ぴったりに綾人さんのこと抱きたい!!だから22時までに明日の仕事の支度してから約束のバーに向かって、解散したら速攻ホテル入って……」 城崎は城崎で、倉科さんの意地悪に対抗する策を練っているらしい。 まぁいいか。 俺だって早く城崎とシたいし、それに家もいくら防音だからって、0時なんかに物音がしたら近所迷惑だろうし…。 「綾人さんっ!ビジホかラブホかスイート、どれがいいですか?!」 「三番目は論外だろ。」 「ビジホだと綾人さんの声が筒抜けです!」 「じゃあラブホしかないじゃん。」 城崎は「分かりました!」と、さっそくスマホで予約し始めた。 どんだけ俺のこと好きなんだよ…。 マジで照れる。 城崎が嬉しそうに予約が取れたと報告してくるから、俺も一層夜が楽しみになった。

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