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第910話

一週間分の欲望が爆発した結果、俺は動けそうにない。 仕事どうしようか…? つーか、夏月も動けんのか?これ…。 「夏月、動ける?」 「なんとか…。でも今綾人さんから出たら、また擦れて興奮しそう…。」 「もう俺、さすがに無理だけど。」 「分かってます…。てか中めちゃくちゃ出した。ごめん…。」 いや、それは俺がお願いしたし。 夏月が俺から出ていくと、栓が抜けたように精液がコポコポと溢れ出てきた。 腹がギュルギュルと不穏な動きを始める。 やべー…。動けない上に腹まで下したかも…。 「夏月…、悪い。トイレ……」 「歩ける?」 「無理……。」 夏月に抱えられ、便座に座らされる。 情けねー……。 「仕事行く準備しといて…。」 「綾人さんは?」 「俺は…、無理……。」 「会社になんて言おう?」 「…………ぎっくり腰?なんて…。はは…。」 自分で言って悲しくなってきた。 そんな嘘通じるのか?と思うと同時に、もうそんなこともあり得る歳かと、夏月との年齢差を実感したからだ。 30代っておじさんなんだな…。 悲しくなってきたから、正直にお腹下したって連絡しよう…。 「俺も休む。」 「ダメだ。」 「じゃあせめて半休。」 「仕事行きなさい。」 「やだ。綾人さんを家に送って、体調が無事なこと確認したら出勤する。」 こういうときの夏月は意地でも言うこと聞かない。 俺のこと思ってくれてるのは百も承知なんだけどな…。 「でも俺しばらくトイレから出られ…、うっ…」 「綾人さんっ?!」 「入んな、バカ!」 半分開けられたドアをなんとか手を伸ばして閉める。 下痢してるとこ恋人に見られるとか絶対無理!! うぅっ…、腹痛ぇ……。 「やっぱり半休とります。タクシーで帰りましょう?家まで送り届けたら、痛み止めとか買ってきますから…。」 「大丈夫だって。」 「どこが?!……俺のせいだから。ごめんね、綾人さん。」 さっきからごめんごめんって。 なんで夏月が謝るんだ。 「おまえはゴム付けようとしてくれてたじゃん。俺がお願いしたんだ。夏月のせいじゃないだろ。」 「でも…」 「気持ちよかったじゃん。俺も気持ちよかったよ?だからこれくらい大丈夫。な?」 そう伝えるとドンドンっと扉を叩かれる。 「綾人さんの顔が見たい〜……。」 「それは…待って。今は無理。」 「開けていい?」 「ダメだって。」 心配性の夏月と絶対に排泄中を見られたくない俺の押し問答は30分にも及び、何とか俺の腹が落ち着くまで見られずに耐えきった。 結局タクシーで家まで帰り、ホテルからタクシーまで、タクシーから部屋までは夏月におぶってもらうことになってしまった。

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