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第922話
何時間眠っていたのか、暑くて目が覚めた。
エアコンは効いているものの、夏月にホールドされたまま布団かぶってるから、そりゃあ暑い。
「うぅ…。臭……。」
精液特有の匂いとカピカピに乾いた寝具。
夏月は安静にしないといけないから、俺が後片付けしなきゃいけなかったのに…。
いつも全部やってくれてる夏月のありがたさが身に沁みてわかった。
ベッドから出ようとすると、俺を抱きしめる夏月の腕に力がこもった。
「ん…、綾人さん…」
「悪い。起こしたか?」
「ううん…。もう起きなきゃ…。綾人さん、今日受診の日だよね…?」
「あ。」
完全に忘れてた。
今日は渡瀬先生の診察の日だ。
時計を確認すると、まだ朝の6時だったから全然余裕はあった。
「濡らしたタオル持ってくるから、夏月は待ってて。」
「一緒にシャワー浴びよ…?」
夏月は俺の腰にキスしておねだりする。
一緒に入りたさもあるけど…。
「安静にしなきゃだろ。」
「でも先生のとこ行くのに、タオルで拭くだけじゃさすがに頼りない…。」
「は?俺一人で行くに決まってんだろ。夏月は留守番。」
「なんでぇ…。」
まだむにゃむにゃと眠そうに話す夏月。
なんでその足で一緒に行く気なんだよ。
「まっすぐ帰ってくるから。」
「う〜……。じゃあシャワーだけは許して…」
「タオルでいいだろ。」
「やだ…。綾人さんとシャワーする……」
夏月はむくりと身体を起こし、俺を抱き寄せてキスし始めた。
夏月の身体にたくさんの紅い痕…。
これ全部、昨日俺がつけたんだ…。
何度も唇を重ねた後、チュッとリップ音を立てて唇が離れた。
「さすがに昨日ヤリすぎたから、綾人さんの元気ないですね…。」
「おまえのが勃ってることが怖いよ、俺は。」
絶倫もここまでいくと恐怖すら感じる。
本当こいつの身体の作り、どうなってんだよ。
もう俺の身体持たない。
夏月を納得させるには……。
「シャワー行く…?」
「いいんですかっ?!」
さっきまで閉じそうなくらいうとうとしていた目を大きく開き、夏月はキラキラした目で俺を見つめた。
「その代わり留守番だからな?」
「………はい。」
「なんでそんな嫌そうなんだよ。」
しょぼん…と悲しそうな顔をする夏月を連れて浴室へ向かった。
シャワーしてすぐ上がろうと思ってたのに、身体を洗ってやると夏月のが治らなくなってしまって、結局は俺の太腿で抜いた。
体はスッキリしたけど、余計に疲労が溜まって、俺は診察の時間までソファで足を伸ばして二度寝した。
「じゃあ行ってくる。」
「はい…。気をつけてね、綾人さん。」
いってらっしゃい、と頬にキスする夏月。
俺も額と唇にキスを返し、いってきます、と返して家を出た。
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