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第923話
薬は減らしていく方向になるかと思っていたけど、夏月の事故の件もあったから、俺の心の調子が崩れやすくなる可能性を危惧して薬の減量は延期となった。
また二週間後に予約を取り、まっすぐ家に帰る。
「ただいま。」
「綾人さんっ、おかえりなさいっ!」
家に入ると、真っ先に夏月が出迎えてくれる。
リビングの方からいい匂い…。
「え?昼飯作ってんのか?」
「はいっ♡」
「安静にしてろって言っただろ。俺が作るから。」
「だって昨日は綾人さんがいっぱい頑張ってくれましたから…♡俺も頑張りますっ!」
「なっ…?!ニヤニヤすんな、バカ!」
夏月に跨って淫らに腰を振っていたことを思い出すと、恥ずかしすぎて熱が顔に集中する。
ダメだダメだ。
考えたらまた後ろが疼いてしまう。
「綾人さんも思い出してるでしょ〜?」
「はぁっ?!思い出してないし!!」
「お顔が真っ赤ですよ♡」
「っっ!!」
すぐ顔に出るの嫌だ…。
ソファの上で丸まって顔を隠していると、背中に夏月がのしかかった。
「綾人さん、だーいすき♡」
「……何なんだよ。今は構うな…。」
「いつなら構ってくれますか?」
「…………」
「ご飯食べたら、ゆっくりイチャイチャしながらたくさんお話したいな〜?来月の旅行の予定とか立てながら。どうですか?」
「………いいよ。」
「やったー♪」
こいつは本当に俺の扱いが上手い。
なんだか全部主導権握られてる気分。
それすら悪くないと思ってしまう俺も相当ヤバい。
「何作ってんの?どこからやればいい?」
「あとちょっとだから本当に大丈夫ですよ。綾人さんこそゆっくりしてください。あとで按摩してあげますから。」
「なんで夏月がすんだよ?俺がしてやるよ。」
「エッチな按摩ですか?」
「なんだよそれ!普通の按摩!!」
夏月の揶揄いを上手く躱しながら、料理の続きも上手く引き継いだ。
あとちょっととか言ってたけど、まだ半分くらいで、交代してから夏月は少し口元を歪めてソファに座って患部を冷やしていたから、やっぱり痛かったんだと思う。
代わってよかった。
前半は夏月、後半は俺が作ったロコモコ丼を平らげて、食後はお茶しながら旅行の計画を練った。
旅館の周りには湯畑があったり、滝なんかもあったりするみたいで、そこも見て回りたいなと話していた。
お腹が落ち着いてからは、宣言通り按摩したりして、時間はあっという間に過ぎていった。
休日は本当に時間が経つのが早い。
一日がもっと長ければ、夏月とどんなことができるだろうって、想像するだけでもすごく幸せだった。
「綾人さんの按摩気持ちよかったなぁ。」
「またしてやるよ。」
「次はエッチなのしてください♡」
「だからエッチなのってなんだよ。」
「プレイ的な?あ、俺がやってあげましょうか?綾人さんはお客さん役で〜、俺がマッサージ店の施術者♪」
「遠慮しとくわ…。」
「え〜!しましょうよー!」
「やだ。」
バカップルみたいなやりとりをしながら、唇を重ねてそのまま眠りについた。
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