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第924話

夏月が事故に遭ってから約三週間。 二週間の安静で夏月の捻挫も完治し、俺の薬も2日に1回へ減量となった。 夏月は外回りに復帰し、部長もほっと胸を撫で下ろしていた。 俺もいつもの如く資料の整理をしているけど、正直明日のことで頭がいっぱいだ。 「せーんぱいっ♡お昼行きましょ♪」 「あぁ……、えっ?もうそんな時間?!」 「はい♪そんな時間です♪」 夏月に連れられて二人で会議室に入ってドアを閉める。 鍵をかけた瞬間、夏月は俺を抱きしめる。 「やっと綾人さんチャージできる〜…」 「おい。それ以上ダメだからな。」 「わかってますよ。ハグぐらい許してください…」 「ん…。」 ハグも見られたらアウトなんだけど…。 そう思いながらも、キス以上どころか名前呼びすら我慢させてるから、これくらいいいかなぁなんて…。 俺も緩すぎる? 「さっきなんでボーッとしてたんですか?」 「あぁ…。明日のこと考えてたら楽しみで…、つい…。」 「何それ!?可愛すぎませんかっ?!!」 夏月は抱き締める力を強め、なんなら鼻のてっぺんにキスしてきた。 明日は夏月と温泉旅行。 夏祭りの射的で、夏月が取った景品のやつ。 温泉の周りも観光できそうで楽しみなんだよな。 「俺も明日超超超楽しみです♡」 「観光するんだからな?」 「はーい♡夜はいつもより抑えますね♡」 「本当かよ?」 予定を立てている段階で、観光のために体力を残しておきたいから、夜の…アレはいつもより控えてって伝えてたんだけど…。 なんだかんだその場の空気に流されそうな気しかしないから、夏月には言ってないけど、1日目の予定に絶対行きたいところは全部組んでるんだよな。 「綾人さんの浴衣楽しみです♡」 「そればっか言ってる。」 「だって前はお祖母様がいてセックスできなかったじゃないですか。」 「ゲホッ!ゴホッ…!おっ…、おまえなぁっ!?」 「綾人さんもあの時シたいって思ってくれてましたよね?」 「あっ…、あの時は…、なんかそういう気分だったんだよ!」 たしかに同意した。 シたくなった?って聞かれて、素直に頷いた。 つーか、自分でもわかってるし。 明日そういう状況になったら、俺も夏月といっぱいシたくなっちゃうって…。 だから1日目に予定詰めてんだよ。気づけ、バカ。 「はぁ〜♡今日の夜も楽しみです♡」 「なんで?」 「綾人さんの毛、今日剃るって約束したでしょ♡またあのツルツルスベスベなお肌に触れられるのが楽しみ〜♡」 「〜〜〜っ///」 数日前にセックスしたときに、そういう話題になって、温泉旅行前に剃ってもいいよと承諾してしまった。 夏月はちゃんと覚えていたらしい。 顔を真っ赤にしたまま逃げるように会議室を出ると、蛇目とぶつかって、それはそれはしつこく問い詰められてしまった。 すぐに夏月が来て助けてくれたけど…。 やっぱり職場で夏月と二人きりになるのはよくないのかもなぁ…なんて思ってしまった。

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