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第928話
お風呂から上がって水気を取って、館内着に着替える。
浴衣を着たばかりなのに、夏月は俺を背中から抱きしめ、襟合わせから手を中に入れた。
「夏月…っ、着たばっか…」
「綾人さんの肌が熱ってるから、頸とかすっげーエロい。」
「んぁっ…」
「ごめん。我慢できない。」
乳首を摘まれて足元から崩れそうな俺を抱き止め、夏月は布団に俺を横たえた。
俺の首筋に顔を埋め、じゅっと吸い付く。
夏月の髪が肌を擽り、動きを止めるために夏月の顔をホールドした。
「な…つき…っ、擽ったい…」
「いつもと違う匂い。旅館のシャンプー使ったの?」
「んっ…、ダメだったか…?」
「ううん。いい匂い。新鮮だなって思っただけ。」
「ふ…ぅっ…」
耳元で話されて、ぞわぞわしてしまう。
夏月の顔を固定していた手を離すと、両手を掴まれて顔の横に固定される。
夏月は勝ち誇ったような笑みで俺の唇を奪った。
「んっ、んんっ…♡」
「加減しなくていいんだよね?」
「ぅ…んっ、いい…っ」
「気が変わったの?明日も観光するって意気込んでたのに。」
旅行前の話だろうか?
こうなること分かってたし、俺も夏月にいっぱいしてほしくなるって…。
「行きたいとこ、今日全部回ったから…。明日は動けなくてもいい…。」
「…………」
そう言うと、夏月は言葉を失って固まった。
あれ?もしかして俺今めちゃくちゃキモイこと言った?
こうなるって分かってて今日回っておいたなんて、期待したみたいだった?
「夏…っ」
「可愛い!!!」
「へっ…?」
「お望み通り、抱き潰してあげますっ♡」
よかった。
全然引いてないらしい。
夏月はガサゴソ鞄を漁り、コンドームを取り出す。
「今日は使い切っちゃいましょう♪」
「えっ…」
「綾人のして欲しいこと、ぜーんぶしてあげる♡だから俺に教えて?」
して欲しいこと……。
ぼぼぼっと顔に熱が集まる。
「何?やらしいこと考えてた?」
「ち、違っ…!」
「いいよ。綾人の考えてたエッチなお願い、全部教えて?」
俺が夏月にしてほしいこと…。
痛いくらい抱きしめて欲しい。
どっちの口の中か分かんないくらい溶け合うみたいなキスをしたい。
体の隅々まで全部、優しく触れて欲しい。
俺の奥の奥の、もっと奥の方まで暴かれたい。
それから…、それから………。
「何も考えられないくらい…愛してほしい…。」
「全部叶えてあげる。綾人、愛してるよ。」
何回も、何十回も言われてるはずの言葉が、俺の心にじんわりと溶けて熱をもった。
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