941 / 1069
第941話
夜もレストラン行くんだよな?
やっぱりこいつ、俺のことになると金銭感覚バグってるだろ…。
夏月に見守られながらプレゼントを探していると、俺の仕事用の鞄の中にそれらしきものが…。
「これ?」
「正解。開けてみて?」
包装紙を開けると、名刺入れ。
黒い革製のしっかりしたデザインで、これも俺好み。
「綾人さんの名刺入れ、結構年季入ってるから。思い出のものだったらありがた迷惑かなーと思ったんですけど、もし良かったら使ってください。」
「ありがとう。普通に使い古してるだけだし、これ使う。」
「本当?よかった…。」
安心したように笑う夏月。
もしかして、俺が喜ぶか不安だったからこんなに何個も?
バカだな…。
夏月からプレゼントされたら、なんでも喜ぶに決まってんのに…。
「あと2つ?」
「うん。ちょっと見つけにくいかも。」
「えー。じゃあヒントくれよ。」
「んー。綾人さんが好きなもの…とか言ったら怒りそうだな〜。」
「?」
「それがヒント。」
俺が好きなもの…。
かつ、好きって言ったら俺が怒る…?
「……ムズイ。わかんねぇ。」
「えー?じゃあ綾人さんの好きなもの言ってみて?」
「俺の好きなもの?んーと、甘いものだろ、動物、お酒…。」
「もっと好きなものあるでしょ?」
「ん?夏月のこと?」
「うっっ…!可愛すぎて胸が苦しい…っ!」
「またかよ(笑)」
心配して夏月に近付くと、抱きしめられる。
ニヤニヤしながらズボン越しにお尻の穴を擦ってくるから、頭を小突いた。
「なんだよ、急に。」
「綾人さんは俺のことが一番好き?」
「うん。だったら何?」
「俺の次に綾人さんのこと気持ちよくしてくれるものなーんだ?」
「は…?」
夏月以外ってそんなの無い……。
……………。
「…………っ!!?」
「気づきました?♡……痛っ!!」
「好きじゃねぇし!!バカ!!!」
夏月の言わんとしてることが分かった。
夏月の部屋のクローゼット。
その隅にある、夜の玩具が詰め込まれた玩具箱。
やっぱり。ここにあった。
「好きじゃない!!」
「照れちゃって〜♡」
「こんなのいらねぇし。」
「まぁまぁ。一旦開けてみてくださいよ。」
夏月に言われ、渋々包装紙を破って開封する。
「……………。」
「使ってみたいでしょ?」
銀色のボコボコした細い棒。
一体何に使うのか。
いや、本当はなんとなく想像はつく。
「一応聞くけど、何これ。」
「尿道ブジーです♡」
嫌な予感が的中し、肩を落とす。
夏月に箱を押し付けて手を離した。
「絶対使わない。つーか、俺へのプレゼントって言ってたじゃん。こんなの絶対一人で使わねぇし。返品してこい。」
「え〜。前気持ちよくなれたでしょ?ブジー買おうねって言ったじゃないですか。」
「おまえが勝手に言っただけ。俺は欲しいなんて言ってない。」
「尿道責めハマっちゃうかもですよ?」
「ハマらないから。」
ぷいっとそっぽを向くと、夏月は苦笑して玩具箱を奥に直した。
ともだちにシェアしよう!