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第948話
朝早くに目が覚め、朝陽に照らされた都内を一望した。
窓の外を見つめていると、起きてきた夏月に抱きしめられてそのまま一発…、いや二発。
少しチェックアウトを遅らせて、家に帰ってきた。
「いや〜!いい一日でしたね!綾人さん31歳おめでとう!」
「年齢言うのやめて…。」
「え〜?いいじゃないですか。俺も早く30になりたい。」
「なんでだよ?」
「大人の魅力が出るから?」
「バカにしてんのか。」
「してないですよ!?」
夏月は慌てて俺の顔色を伺う。
ふっ…、可愛い…。
「嘘だよ。夏月、今日は家でゆっくりしような。」
「わーい♡って言っても、もう15時ですけどね?」
「おまえが朝から盛るからだろ。」
「だって綾人さんが可愛くて〜♡」
ソファに座りながらイチャイチャする。
めちゃくちゃ幸せ。
俺って結構人に甘えるの好きなのかも…。
「このバングル、めちゃくちゃ嬉しい。」
「似合ってる。」
夏月の腕で輝くシルバーのバングル。
シンプルなデザインにしたから、元の素材がいい夏月にはとても似合ってる。
お揃いにしたはいいものの、俺に似合ってるかは分からない。
「刻印の文章、綾人さんが考えてくれたの?」
「うん…。」
「I will give you all my love.」
「ちょっ?!///」
夏月が流暢な英語で彫られた文字を読み上げる。
『全ての愛を捧げます。』
俺の今の、そしてこれからの愛を全て。
そんな気持ちをストレートに彫ってもらった。
「綾人さんの方にはなんで彫ってあるの?」
「ん?イニシャルだけ。」
「えー。じゃあ俺が考えた文章彫ってもらいましょうよー。」
夏月にそう言われ、それもいいな…とそわそわする。
でもこれ、オーダーメイドで作ってもらったし、後から追加でなんて…。
「できんのかな…。」
「俺の営業スマイルで交渉してみます!」
「わー。これが全人類を誑かせる男の特権かー。」
「なんてこと言うんですか!」
「ちょっ!ふはっ!擽ったい!!」
「悪い子にはくすぐりの刑です!」
キャッキャと戯れあって、いつのまにかキスにシフトしてて、そんでまた体を重ねた。
夏月に預けた俺の分のバングルは、営業スマイルが功を成したのかは定かではないが、なんとお願いが通ったらしい。
後日家に郵送されたバングルには、新しく文字が彫られていた。
『You are my first love and will be my last.』
俺は夏月の最初で最後の恋人だと、そう彫られていた。
嬉しくて涙ぐむ俺に、夏月は何回も何十回も甘い愛の言葉を囁いて、俺を一晩中愛し尽くしてくれた。
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