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第953話

少し不安なまま昼を迎える。 「よし!じゃあ作りますか!」 「何使う?」 「普通に豚と玉ねぎとニンニク炒めて、オイルとか黒胡椒で味付けしたら美味しそう。」 「お。それなら俺でも作れそう。」 「じゃあ綾人さんは炒め係、俺は今日はパスタ茹でに専念します!」 あくまで俺の料理が食べたいらしい。 案は夏月なんだけど…。 まぁいっか。 材料を切っていると、夏月がじーっと俺の顔を見つめてくる。 「………何?なんか付いてる?」 「んー。チューしたい。」 「ん。」 手を止めて、夏月の唇に触れるだけのキスをする。 夏月はパァッと花が咲いたような笑顔を見せ、ルンルンでパスタを茹で始めた。 なぁ。マジで今日の夏月、異常に可愛いんだけど…。 手を再開させ、材料を切り終わったら調味料を準備して炒める工程に入る。 先に準備しとかないと、俺絶対に慌てるの分かってるからな…。 「綾人さん、あと10分で作れる?」 「へ?!」 「茹で上がりがそれくらいだから…。手伝おうか?」 「いや、いい。」 夏月が茹で始めたってことは、本当なら茹でてる間に終わる作業ってことだろ? やってやろうじゃん…。自信ないけど…。 「綾人さん結構手際いいじゃん。」 「そう?」 「味見していい?」 「うん。」 夏月に見守られながら、なんとかパスタが茹で上がる前に作り終えた。 夏月は指で玉ねぎを取って口に入れる。 「ん〜♡美味しい!綾人さん上手!」 「ほんと?」 「うん!綾人さんも味見してみたら?」 そう言われて、俺も一口味見すると、思ってたより美味しくできていた。 創作料理もできるなんて、すごいよな…。 アラームが鳴って、最後は湯ぎりしたパスタと和えてお皿に盛った。 「綾人さんの創作パスタ♡いただきまーす!」 「考えたのは夏月だろ。」 「作ったのは綾人さんですっ♡ん〜っ!美味しい!」 夏月ってやっぱり俺のこと甘やかしすぎでは…? でも俺の料理を食べて喜んでくれる夏月の表情はとても可愛くて、胸がきゅーんっとした。 「ご馳走様でした。綾人さん、次は耳かきしてくださいっ♡」 「耳かき?」 「はいっ!膝枕して、俺の耳綺麗にして♡」 普段されないようなおねだりに戸惑いながらも、お願いされるがままにソファで夏月に膝枕する。 人の耳掃除するなんて緊張する…。 「痛かったら言えよ?」 「はーい。」 「じゃあ入れるぞ…。」 「綾人さん、その言い方卑猥〜。」 「なっ?!」 自分の言った言葉を思い返すと、たしかになんだか卑猥な気が…。 固まっていると、夏月は俺の太腿にキスして、早く早くと強請ってきた。

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