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第954話
小さい頃、祖母の家でこうして耳かきしてもらっていたことを思い出す。
人の耳掃除ってこんなにも緊張するものか…。
上手くヒットすると気持ちいいくらいに取れる。
「最近掃除サボってたんです。耳垢多い?」
「割とあるよ。」
「ははっ。恥ずかし…」
「動くなよ。デカいの取れそうだから…。」
集中して掘っていると、大きな耳垢が取れた。
ヤバい。
これは気持ちいい。ハマるかも。
夏月は俺の表情を見て、吹き出すように笑った。
「すげぇデカくね?!」
「大きい耳垢出てきて恥ずかしいのに、綾人さんが嬉しそうだからなんだか嬉しくなっちゃった。」
「もうちょっとしていい?」
「うん。俺も気持ちいいからしてほしい。」
夏月はふにゃっと笑って、また俺の太腿に頭を置いた。
時間をかけて夏月の耳の中を綺麗に掃除して、初めてこんなに取れた記念に写真を撮ろうとしたら、「それは本当にやめて。」とガチトーンで夏月に止められた。
「また耳かきしたい。」
「うん。またお願いしますね。」
「自分で掃除しちゃダメだぞ?俺がするから!」
「どんだけ耳垢取れたの気持ちよかったんですか(笑)」
夏月はくすくす笑いながら、俺を優しく抱きしめる。
うぅ…。かっこいい…。
「夏月…」
「もう…。またそんな顔して…。」
見つめると目が合って、夏月は呆れたように笑いながら俺の唇にキスを落とす。
首に手を回すと、ゆっくりとソファに押し倒される。
「んっ…ぁ、夏月…ッ、なつ…、ンッ」
「名前呼んでくれるの嬉しいけど、今はキスに集中して?」
「はっ…、んむ…」
夏月は耳元で囁いて、またキスを再開した。
舌が熱くて、重なると溶け合ってしまいそうな気さえする。
腰を揺らすと、太腿で股間を刺激された。
「ん…ぁっ、あっ、夏…ッ」
「今日は綾人さんが頑張ってくれるの?」
そうだ…。
今日は甘えたいって言われてたんだ。
俺が夏月のこと満足させてあげなきゃ…。
夏月に見つめられながら、ズボンと下着を下ろし、右手を使って後ろを解す。
準備をしている間、夏月は堪らないような顔をしながらも、ちゃんと待ってくれていた。
準備ができて、夏月の上に跨る。
「ふっ…、ぅ、うぅ…」
「入る?」
「……ぃんない」
アナルの周りがローションまみれだからか、ぬるぬると滑って上手く挿れられなかった。
先だけでも入ってしまえば楽なんだけど…。
まだ開ききっていない小さな穴は、当てるだけじゃ外からの侵入を許さなかった。
「綾人さんが可愛くて我慢できない。」
「挿れ…て…。夏月…っ」
「はは。綾人さんのお願いだから仕方ないなぁ。」
「ゃっ…!ぁっあ♡」
今日は夏月が甘える側だったはずなのに、結局俺が甘えてしまう。
腰を支えられて、グプンッと俺の中に夏月が埋まる。
好き。幸せ。
言葉にするのは照れ臭いけど、言わなくても伝わる。
夏月と体温を共有するたびに、じんわりと心が満たされていく気がした。
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