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第959話

「では今日から薬は止めましょう。」 「本当ですか!」 「はい。一ヶ月後の診察で体調の確認をして、問題なければ終診という形にしましょうか。」 診察を終え、先生にそう言われた。 夏月の方を見ると、「よかったね。」と微笑んでくれる。 「城崎さんと少しだけお話しさせていただいてもよろしいですか?」 「あ、はい。じゃあ俺先に出てます。」 「綾人さん、すぐ行くから待っててね。」 夏月を置いて診察室を出る。 何言われてんだろ…? 前みたいに待つのかなと思ったら、1分ほどで夏月は診察室から出てきた。 「先生なんて?」 「お薬切れるから、いつも以上に綾人さんのこと甘やかしてねって。」 「ふーん?」 「いや、本当。割とそんな感じのニュアンスでしたよ。」 「じゃあ言われた通り、俺のこと甘やかしてくれんの?」 夏月の腕をぎゅっと掴むと、夏月は顔を引き攣らせた。 あ…。 「綾人さん…?あんまり可愛いことすると、ここで襲うよ?」 「すみませんでした…。」 「家でいっぱい甘やかしてあげる。外であんま可愛いことしないで?俺の身が持たないから。」 夏月は俺の額にチュッとキスを落とし、会計をしに受付に行ってしまった。 もう既に大分と甘やかされてる気がする。 「買い物して帰りましょう。」 「何買うの?」 「夜ご飯の買い出し。何食べたい?」 「んー。秋だし、サンマとか?」 「いいですね。じゃあ夜は炊き込みご飯とサンマにしましょうか。」 「美味そう。楽しみ。」 帰りにスーパーに寄って、夕食の買い物をする。 隣接するドラッグストアにも寄って、俺が洗剤や歯磨き粉を買ってる間に、夏月も何か買っていた。 「何買ったんだ?」 「見る?」 手渡された袋を覗き込むと、コンドームとローションが入っていて、顔にブワッと熱が集まる。 赤くなった俺を見て、夏月はくすくす笑った。 「甘やかすって言ったでしょ?」 「甘やかすってそういうこと…。」 「綾人さんの身体の奥の方まで愛したいんです。いいでしょ?」 「………いっぱいキスしてくれるならいいよ。」 「はいっ♡♡」 恥ずかしがりな俺の精一杯の甘え。 伝わったかな…? 伝わったんだろうな。 だって、夏月の顔がめちゃくちゃニヤけてんだもん。 「綾人さんはキス大好きだな〜。」 「悪いかよ…。」 「んーん。めちゃくちゃ可愛いですっ♡」 手を繋いで隣を歩き、家に入った瞬間に唇が重なった。

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