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第965話
さっとシャワーを浴びて、下着を着替えて駅へ向かった。
この接待が終われば、大分と気が楽になる。
明日はいつも通り営業かけに行く感じでいけるだろうし。
「あっ!望月さん、城崎さん、こっちこっち!」
「池田部長、お待たせして申し訳ございません!」
「ええよ。まだ約束の15分前やし。思ったより仕事が早く終わって、先に着いてもうたんです。こっちです。行きましょう。」
池田部長は主任クラスの部下を二人連れてきていた。
挨拶を済ませ、居酒屋へ移動する。
「ここの串カツなかなか美味いねん。」
「串カツいいですね。楽しみです。」
「日本酒もなかなか美味くてなぁ。さぁ、城崎くん。付き合ってやぁ。こいつらみんな弱くて、なかなか日本酒付き合ってくれる奴がおらんくてなぁ!」
部下の方は苦笑しながら夏月に頭を下げた。
池田部長、そんな飲むのか…。
夏月の袖をくいくいと引っ張ると、気づいて顔を寄せてくれる。
「無理すんなよ?ヤバい時は断っていいんだからな?」
「分かってますよ。心配してくれてありがとう、綾人さん。」
小声で耳打ちすると、夏月は耳にキスして部長の隣に話をしに戻って行った。
大丈夫かなぁ…。
夏月はお酒強い方だけど…。
「大丈夫かなぁ?」
「えっ…。」
「あー、城崎さんのことな。池田部長、めちゃくちゃ酒豪なんですよ。今までの接待相手、何人も潰してきたからなぁ。」
「そうなんですか…。」
「まぁヤバそうやったら俺らも止めに入るんで!それまではこっちはこっちで飲みましょ!主任交流会ってことで!」
「はい…。」
俺は夏月を気にしながら、串カツを食べた。
飲んだら夏月が心配するから烏龍茶で。
「美味しい…。」
「せやろ!…って、望月さん飲まないんですか?」
「あー…、はい。お酒得意じゃなくて…。」
「まぁ望月さんがシラフやったら、城崎さんが潰れてもなんとかなりますね!よかった。」
夏月たち、もう2合目いってる…。
まだ平気そうだけど…。
「望月さん、気にしすぎやで。料理楽しみましょうよ。」
「はい…。」
「今回は仕事だけで帰りはるん?」
「いや、最終日に観光しようかなと。」
「へぇ!大阪て大阪人からすれば何もないですけど、観光やとどこがええんかな?」
「通天閣とか有名じゃないんですか?」
「あー、なるほどな。地元民はなかなか行かんからなぁ。望月さんだって、東京タワーとかスカイツリーとかそんな行かんやろ?」
「言われてみれば…。」
大阪のことを聞きながら、ちらちら夏月を気にする。
ちょっと頬が赤くなってきてる…。
「城崎、水飲めよ。」
「綾人さぁん…。ありがとぉございます…。」
やっぱり酔ってるな。
ナチュラルに名前呼びだし。
「城崎くん、まだまだいけるやろ!」
「はい。もちろんです。」
「城崎…、無理すんなよ?」
「はい♡」
夏月はまだ付き合うらしく、俺はヒヤヒヤしながら距離を置いて夏月のことを見守っていた。
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