970 / 1069
第970話
午前中から大阪に拠点を構える企業の説明会や、アポの取れたところは営業かけに行ったりもして、あっという間に日が暮れてきた。
「今日もいい感じでしたね。あとは報告書まとめて提出すれば完璧でしょ。」
「おまえと回ると営業の自信なくすよ…。」
「えぇっ…!?」
「今の褒め言葉な、一応。」
涙目になる夏月の頭を撫でる。
夏月の営業成績の秘訣は、センスだけじゃなくて諦めない心も大いに関係していそうだ。
狙った獲物は逃さない。
入社してからずっとそうだったな。
「二日間、よく頑張ったな。」
「ご褒美!」
「なんか美味しいもの食べに行こっか。」
「違う!綾人さん!!」
「はいはい。美味いもん食ってからな。」
「え〜。」
文句垂れる夏月を連れて、フグ料理を食べに行った。
多少値は張ったけど、ご褒美だから良し。
お腹いっぱい食べて、ホテルに戻った。
「美味しかった〜。」
「明日は食い倒れなんだろ?」
「うん。でも大阪って有名な水族館あるじゃないですか。綾人さんとのデートといえば水族館みたいなとこもあるから、そっちもいいなぁって悩んでて…。」
「じゃあまた今度大阪来よう。その時は水族館デート連れてってくれよ。」
「はいっ!!」
夏月は俺めがけて飛びかかってきた。
そのままベッドに倒れ込み、視界が夏月でいっぱいになった。
「んん…、ふっ…」
「綾人さん、触って。」
右手を誘導され、辿り着いたのは夏月の下腹部。
昨日と違って、もう硬くなりかけていた。
「綾人さんとキスするだけでこんなんなるの。綾人さんしか俺のこと興奮させられないよ。」
「んっ、うん…っ」
「本当は昨日めちゃくちゃに抱きたかった…。ねぇ、またあのパンツ履いてくれる?」
昨日パンツ越しに顔埋められたりしたのを思い出して赤面する。
恥っず…。
つーか、客観的に見てあんな下着履いてる30代やべーだろ…。
「…っ、やだ…」
「何でもお願い聞くから。ね?いいでしょ?」
「何でも…?」
「うん。何でも。」
お願い…。
聞いてくれんなら、履いてもいいかも…。
「ずっと一緒にいてくれるか…?」
「何その可愛いお願い。言われなくても一緒にいますよ♡」
「ずっとだぞ?」
「死ぬまでそばにいます♡愛してますから♡」
何度も聞いてるはずなのに、何度聞いても涙が出るほど嬉しい。
目尻に涙が溜まって溢れそうなのを、夏月は抱きしめて隠してくれた。
「そんな可愛いお願いならもう一個聞いてあげようかな〜?」
「………キスして…。」
「はは。もう一つも可愛いお願いだった。」
たくさんキスして、奥の方まで夏月でいっぱいに満たされて、一緒にシャワーに入って、同じベッドで眠りについた。
今夜はいい夢を見られそうだ。
「おやすみ、綾人さん。」
「おやすみ、夏月。」
最後にもう一度キスをして、抱きしめあって目を閉じた。
ともだちにシェアしよう!