972 / 1069
第972話
夏月オススメのたこ焼き屋で8個入りを頼む。
「熱っ…、うまっ!」
「はふはふしてる綾人さん可愛い。」
「熱いんだもん。」
「あーんして。」
「仕方ねぇな。」
爪楊枝で挿して夏月の口へ運ぶと、夏月も「熱っ!」と口をハフハフさせていた。
ソースとマヨネーズ、青のりに鰹節。
東京でも食べられるけど、やっぱ本場で食べると雰囲気も加わって美味しさが増す。
お好み焼きも食べるから控えようと思って二人で8個にしたけど、美味しくてすぐになくなってしまった。
「お好み焼きはオススメのとこある?」
「有名なところは向こうの通りにあるみたいです。」
「じゃあそこ行こうぜ。」
夏月はモダン焼き、俺はぶた玉を頼む。
店員さんが焼くか、自分で焼くか選ばせてくれて、初めてだから焼いてもらうことにした。
「あとは焼き目がついたらお召し上がりください。」
「ありがとうございます。」
表面が焼けてひっくり返してくれて、あとは食べ頃になったら食べればいいらしい。
美味そう…。
「もんじゃとは違いますね。」
「うん。いただきまーす。」
「いただきます。」
ん〜!美味しい!
口いっぱいに頬張っていると、夏月は俺を見てくすくす笑う。
「何だよ?」
「ハムスターみたい(笑)」
「………夏月のもちょうだい。」
「いいよ。あーん♡」
口を開けると、フーフーして冷ましてくれた一口大のお好み焼きが口に入れられる。
ん…、こっちも美味い…。
「美味い。」
「キツイかなーと思ったけど、一枚は食べれそうですね。」
「うん。余裕。」
ぺろりと一枚平らげて、お好み焼き屋も後にする。
さすがにたこ焼きとお好み焼き両方食べるとお腹に溜まって、夕方までにお腹をできる限り空かせようと辺りを散策した。
通天閣に登って、その後新世界をぶらぶらする。
「あ。これ懐かしい。」
「何これ?」
「スマートボール。知らない?夏月若いもんな。」
「そんなに年代変わらないでしょ。」
「はは。俺も小学校の授業で作ったことあるくらいだけどな。パチンコみたいな感じっぽい。やってみようぜ。」
100円入れると、玉が補充される。
「ここ引っ張って離すんだよ。そしたらボールが飛んでって……、あー失敗。」
「なるほど…。こうですか?」
夏月は1回目こそ失敗してたけど、すぐにコツを掴んで2回目には得点を入れていた。
俺はすぐに持ち玉が無くなってしまって、夏月のをじっと見てた。
「兄ちゃん上手いなぁ。」
「本当ですか?」
「やるん初めて?」
「はい。楽しいです。」
「そらよかった。これ景品のお菓子詰め合わせ。」
「わー。荷物増えた。」
「なんやそら(笑)」
夏月は景品をもらったのに荷物になるからと、その辺に歩いてる子どもにあげた。
子どもたちはキャッキャと嬉しそうにはしゃぎながら、お菓子を持って走って行った。
「あ。動物園ありますよ。行ってみませんか?」
「おう。」
たまたま辿り着いた動物園に入ってみることにした。
ともだちにシェアしよう!