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第979話

夏月と目があった瞬間、青褪めた顔して飛びついてきた。 「俺の印は?!」 「消した。」 「?!?!!」 笑顔でそう答えると、夏月は絶望した顔で崩れ落ちた。 後ろから来た圭くんは夏月を見てくすくす笑っている。 「もっちーさん意地悪だなぁ。」 「こいつが悪い。」 「え?どういうこと…?」 「大丈夫だよ、夏月くん。洗ったらちゃんとまた見えるから!」 圭くんが俺の首筋をウェットティッシュみたいなものでスルリと撫でると、隠れていたキスマークが現れた。 クレンジングシートと言うらしい。 夏月は安心したように息を吐き、俺を抱きしめた。 「もう消さないで…。」 「職場では消すよ。消されたくなかったら、こんな目立つところに付けるな。」 「はぁい…。」 首筋についたキスマークの上にキスされる。 反省してるんだかしてないんだか…。 そんなにショックを受けると思わなかったから少し悪い気もして、夏月の頭をよしよしと撫でる。 「ラブラブはもういいから早く土産寄越せよ、夏月。」 「むっ…。俺と綾人さんのラブラブの邪魔しないでくださいよ…。」 「人の家でイチャイチャすんじゃねぇよ。」 倉科さんの言葉が正論過ぎて、夏月と距離を取ろうとすると、夏月は意地でも離れる気はないらしく俺を抱きしめた。 俺を抱きしめたままお土産の袋を圭くんに手渡す。 「ロールケーキ。」 「わぁ〜!ありがとう!」 「綾人さんにも少し分けてほしいです。」 「みんなで食べようよ!」 圭くんは4人分に切り分けてくれて、みんなでテーブルを囲んだ。 お土産話をしていると、夏月はどんどん惚気話に脱線していき、圭くんはそれを喜び、倉科さんはうんざりした顔をして聞いていた。 ティータイムを終え、圭くんは夕ご飯の買い出しに行くと言い出して、俺たちもそのタイミングで帰ろうとすると、倉科さんに止められた。 「いってきまーす!」 「おう。気をつけてな。」 圭くんが出ていって無言の時間が続く。 言葉を切り出したのは夏月だった。 「珍しいですね。透さんが圭さん一人で出掛けさせるなんて。」 「あぁ。おまえらに話があって。」 「どうしたんですか?」 「クリスマス空いてるか?」 まさかの質問に俺と夏月は固まった。 クリスマス…? そりゃ二人で過ごすから空いてるけど…。 答えようとすると、夏月が俺を遮って答える。 「空いてないです。」 「どうせ二人でどっか行くんだろ?」 「そりゃそうでしょ。」 「どうしたんですか?クリスマスは倉科さんも圭くんと過ごしたいんじゃ…?」 「あー…。まぁそれはそうなんだけど。」 倉科さんはスマホで何か検索して、画面を俺たちに見せてきた。

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