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第980話
画面には関東で人気のある遊園地のホームページ。
尚更二人で行きたいのでは…?
顔を上げると、倉科さんはため息をついた。
「望月さん、あにまるず好きなんですよね?」
「え?は、はい…。」
「ここの遊園地があにまるずとコラボするらしくて…。望月さんと盛り上がりたいからWデートがいいってせがまれた。」
「Wデートは構わないんですけど、クリスマスじゃなくてもいいんじゃ…?」
「そうなんだけどな。調べたらイブの夜に特別なナイトパレードがあるらしい。あいつきっと喜ぶと思うから…。だから、圭には当日まで内緒で、クリスマスイブにWデート付き合ってくれないか?」
なるほど…。
というか、倉科さんってそつなくなんでもこなしそうなのに、圭くんのために色々考えてるんだ…。
印象変わったかも…。
「そういうことなら是非。」
「えっ?!綾人さんっ?!!」
「いいじゃん。デートだろ?」
「で、でも…。二人きりが…。」
夏月はシュン…と耳を垂らして泣きそうな顔をする。
うぅ…。そんな顔するなよ…。
おろおろしていると、倉科さんが夏月に頭を下げた。
「夏月、頼む。チケットもホテルも全部俺が出すから。」
「泊まりですか?!」
「園内のホテルのスイート。もちろん部屋は別。どうだ?悪くないだろ?」
「ぐっ……。」
待て待て待て。
クリスマスイブの人気遊園地の園内ホテルのスイートルーム?!!
この時期で取れんの?!
この人、海の時も思ったけどコネやばくないか??
「綾人さん……、どうしたい……?」
「え、俺?俺は泊まりでもいいよ。それに25日も休みだし、クリスマスは二人でゆっくりすればいいんじゃない?」
「そっか…。そうだよね。うん!行きます!」
「よし。決まりだな。」
透さんは少しホッとしたように息をつき、どこかに電話をかけ始めた。
予約かな…?
てか、ホテルにチケットまで、そんな出してもらっていいのか…?
「綾人さん、大丈夫。」
「え?」
「透さんお金持ちだから。一泊のスイートくらい余裕です。浮いたお金は俺たちの未来への投資ってことで♡」
「でも…」
「じゃあ園内で食べる食事代とかは俺たちが出しましょ。比べ物にならないくらい桁が違うけど、申し訳なさは多少なりとも薄れるでしょ?」
そう言われて頷いた。
ごめんなさい、倉科さん。
お言葉に甘えさせていただきます…。
「予約取れた。じゃあクリスマスイブ、よろしくお願いします。」
「こちらこそお願いします。」
「楽しみにしてます。お邪魔しました〜。」
お辞儀して倉科さんのマンションを後にする。
少し早いけど、クリスマスイブの予定が決まった。
クリスマスは何がいいかな?
そのまま出掛ける?
「綾人さん。」
「ん?」
「クリスマスの計画は俺に任せてもらってもいい?」
「え。いいのか?」
「もちろん。綾人さんに喜んでもらえるように頑張ります!」
夏月は笑ってそう言った。
俺のために考えてくれたら、ただそれだけで俺は嬉しいのに。
クリスマスはまだ二ヶ月も先なのに、今からソワソワしてしまうくらいすごく楽しみになってきた。
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