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第986話

次に手渡されたのはメイド服。 白と黒の小悪魔っぽいエロ可愛いやつで、丈は短め。 確実に男の俺が着るものではないと分かっている。 分かっているけど、夏月からの期待の眼差しがすごい。 「言っとくけど似合わないからな…。」 「似合います!」 「つーか、なんでメイド服なんだよ…。」 「去年のハロウィンのとき、俺見たいって言ったでしょ?あとウサギは出張の時の動物園で綾人さんにコスプレさせたら可愛いだろうなって。」 「普通どっちかだろ…。」 「えー?でもエロくないですか?メイド服脱がせたら、えっちな下着着た綾ちゃんウサギ♡」 「変態…。」 こんな恥ずかしい格好した俺のこと想像して、あんなにチンコ膨らませてたのかよ…。 本当バカ……。 メイド服を着たあとは、仕上げに白いうさ耳付きのレースのカチューシャと、首には黒レースのチョーカーを着けられた。 「じゃあ俺、リビングで待ってます♡心の準備できたら来てくださいね♡♡」 「ちょ、おい…!」 夏月はニコニコしながら先にリビングへ行ってしまった。 太腿がスースーする…。 鏡に映る自分の姿に情けなくなるかと思ったら、思ったよりも男臭さはないような…。 夏月が喜んでくれるなら……。 意を決してリビングのドアを開けると、ソファにはスーツ姿で眼鏡をかけた夏月が足を組んで座っていた。 か……、格好良い……!! 「夏月…、なんだよ、その格好……。」 「ん?俺、メイドさんに名前教えたっけ?」 「え、あ…。すみません…。」 これって、もしかしてロールプレイ…? 夏月は客で、俺はメイドさん…? そういえば、去年のハロウィンのとき、ご主人様って呼ばれたいとか言ってたような…。 「お、おかえりなさいませ…っ!ご…っ、ご主人様…ッ///」 め…、めちゃくちゃ恥ずかしい…!! 真っ直ぐに夏月を見れなくて下を向きながらそう言うと、全然反応が返ってこなくて、不安になって顔を上げると、夏月は顔をソファに埋めて悶えていた。 何これ…?正解だった…?? 「ご主人様…、ご注文はいかがなさいますか…?」 「名前を教えて?」 「な、名前っ…?」 「うん。メイドさんの名前教えて?」 「…ぁ、綾です…。」 綾人って言った方が良かったのかな…。 でも、今日はいつもと違う呼ばれ方がいい。 そうじゃないと、次からいつも通り呼ばれた時に頭おかしくなりそうだから…。 「へぇ。綾ちゃん…。」 「はい…。」 「仕事で疲れたんだけど、今日は綾ちゃんに癒してもらったら全部疲れが飛んでいきそうな気がするな…。」 「……っ///」 「頑張った俺に、甘〜いご褒美くれませんか?」 だ、誰か……!! こういう時はえっちなことして良いんですか?! 分からずにあたふたしていると、膝をとんとんして見せられる。 座っていいのか…? おそるおそる夏月に跨ると、夏月はクスッと笑った。 「そんな座り方するんだ?綾ちゃんは大胆だね。」 「〜〜〜っ?!?!!」 耳元で囁かれて、背筋にゾクゾクっと快感が走る。 間違えた!! というか、夏月エロすぎる!!無理!!死ぬ!! 眼鏡とか聞いてないって…!! 「ご主人様…っ」 「やば……。綾ちゃん、あんまり煽らないで?」 「呼んだだけ…、んぅっ♡」 触れそうなくらい近かった唇は、夏月が少し前のめりになるだけで簡単に触れ合った。

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