1006 / 1069

第1006話

「………終わった!!お疲れ様でした!!」 「おー。お疲れ様。………望月何かあるのか?」 「さぁ…?」 仕事を終えてすぐに職場を出る。 あと30分くらいで東京駅に着くらしい。 夏月は予想より到着が遅くなったのが悔しいのか、謝罪のメッセージをたくさん送ってきた。 俺としては迎えに行きたかったからよかったんだけど。 改札内に入るための切符を買い、待合室で時間を潰してから新幹線のホームに向かう。 18時35分着、のぞみの5車両目……。 ちょうど新幹線が到着し、一番に夏月が出てきた。 「綾人さんっっ!!!」 「うわっ!?」 人目も気にせず抱きしめられる。 恥ずかしい…けど嬉しい。 ヒソヒソと俺たちを見て話してる人もいる。 でも夏月の腕に包まれていたくて、俺も抱きしめ返した。 「おかえり。」 「ただいま。ごめんね、遅くなって…。」 「迎えに来れて嬉しいから気にすんな。それより、早く帰ろ。」 「はいっ♡」 夏月は俺の隣をぴったりとキープする。 鼻唄まで歌ったりして、可愛い奴。 「ねー、俺、綾人さんの手料理食べたーい♡」 「ん、いいよ。何にしよっか。」 「野菜炒めは昨日食べてたもんね。簡単なのでいいんですけど…。」 「野菜のベーコン巻きとかでもいい?」 「はいっ!嬉しいです!」 自宅に向かいながら、途中スーパーに寄って買い出しをしたりして、のんびりと帰った。 家に着いて、ただいまのキス。 二日分たっぷりと唇を重ね合う。 「…っは、綾人さんなんか今日エロい…。」 「そう…?」 「うん…。ちょっとは期待してくれてたりする…?」 「そりゃ…、うん……。」 頬を桃色に染める夏月につられて、俺も顔が熱くなる。 視線を上げると、また唇が重なった。 幸せすぎ…。やばい…。 「いっぱい気持ちよくするから…。」 「う、うん…。」 「あー…、好き。綾人さん大好き…。」 ぎゅぅっと力強く抱きしめられて、心がほわっとする。 マジで大好きすぎるんだけど…。 「一緒に風呂入ろ…?」 「もちろんです!!」 「先風呂にする?それとも飯にする…?」 「うっ…。綾人さんでって言いたいとこなんだけど、多分お風呂とか綾人さん先にしちゃったら、ご飯食べ損ねそうなので今日はご飯で…。」 「はは。了解。」 夏月の唇にチュッとキスして、一足先にキッチンへ向かった。 昨日と違って、今日は恋人のために作る料理。 美味しいって思ってもらいたくて、俄然やる気が出る。 「幸せ…。結婚したらこんな感じかなぁ?」 「生活に関しては今とそんなに変わらないんじゃないか?」 「うーん…。でも結婚したら、綾人さんの左手の薬指にお揃いのシルバーリング……。いや、全然違いますね。確実に違います。」 「はは。それお前の気分の問題じゃん。」 「雰囲気は大事です!!」 夏月の熱弁。 こんなこと言われたら、結婚指輪は奮発したくなるなぁ。 まだプロポーズもしてないのに何言ってんだって感じだけど。 夏月との未来を想像すると、幸せでいっぱいだった。

ともだちにシェアしよう!