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第1008話
翌朝には熱は下がり、体の怠さも多少は引いた。
なんとか外出できそうだ。
「夏月、起きて。」
「ん〜…。なんで綾人さんのが早いの……。」
「今日に関しては夏月が遅い。」
むにゃむにゃ言ってる夏月に服を着せて、お湯で絞ったタオルで顔を拭いてやると目を覚ました。
ふふ…。赤ちゃんみたい…。
「おはよ、夏月。」
「綾人さん、おはよぉ…。」
夏月が目を伏せたのが合図だと思い、唇を重ねる。
すると、ぬるりと夏月の舌が唇を割って入ってきた。
「んんっ…」
「気持ちぃ…。おはよう♡」
「何回言うんだよ…、んっ」
「キスするためのおはよう♡」
「なんだそれ…。」
熱烈なおはようを10回以上受け、やっと腰を上げてくれた。
ご機嫌な夏月と共にクリニックへ向かう。
もちろん診察は問題なし。
今日をもってクリニックへの通院は終了となった。
「望月さん、辛いこともありましたが、よく頑張りましたね。」
「先生、本当にありがとうございました。」
「これからは城崎さんに心身ともに支えてもらってくださいね。」
「はい。」
「何かあればいつでも気軽に相談に来てください。なんだか私も少し寂しいです。」
先生は俺がどんな時でも頼りやすいように言葉を選んでくれていた。
本当に親身な良い先生だった。
「先生、ありがとうございました。俺がそばにいてあげられなかった時も、綾人さんのこと助けてくださって本当に感謝してます。」
「いえ、とんでもない。」
「綾人さんに悲しい思いをさせないように、俺頑張ります。」
「はい。城崎さんならきっと大丈夫です。」
夏月に肩を抱かれて診察室を出る。
もうここに来ることはないのかな。
ないほうがいいんだろうけど。
「ちょっと寂しいな。」
「先生に会えないの?」
「うん。……あ、勘違いすんなよ?!」
「はは。さすがにそこまで嫉妬深くないですよ…。」
「なんか含みのある間があったんだけど。」
白々しく視線を逸らす夏月をじーっと見つめると、苦笑された。
本当誰にでも嫉妬するな、こいつ。
「俺がそういう意味で好きなのは夏月だけなんだけど。」
「知ってる!知ってます!知ってるけど、なんか本能みたいなものなんです〜…。許して……?」
「疑われてると思ってるわけじゃないんだけどさぁ。」
「う〜…。ごめんね?愛してるよ、綾人さん〜。」
ぎゅ〜っと抱きしめられて、頬にキスされる。
あ。今受付の女の人にバッチリ見られた…。
もうあの人は知ってるだろうけどな…。
「それより夏月、圭くんとの待ち合わせ大丈夫そう?」
「余裕です。多分俺たちの方が早く着くし。綾人さんこそ体調平気?」
「うん。」
「しんどくなったらいつでも俺がおんぶしてあげますからね♡」
「………遠慮しとくよ。」
会計を済ませて、受付の女性にもお礼を言ってクリニックを後にした。
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