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第1009話

待ち合わせの駅に着いて、圭くんが来るまで夏月と二人でぶらぶらした。 美味しそうなスイーツのお店が建ち並び、匂いと見た目につられて引き寄せられる。 「綾人さん、本当甘いもの好きだね。」 「だって…。あ、これ美味そう…。」 「アップルパイ?」 「うん。食べたい…。」 「帰り買おうね。お昼もうすぐだし。」 「はーい。」 スイーツゾーンを抜け出し、飲食店も見ながらランチする店をピックアップする。 イタリアン、フレンチ、和食や食べ放題。 よりどりみどりで色々目移りしてしまう。 「もっちーさーん!夏月くーん!」 「あ!圭くん!」 夏月が場所を伝えていたのか、圭くんが駅の方から小走りでやってきた。 ていうか、可愛い…。 圭くんはそもそも可愛らしい顔立ちをしているけど、服もユニセックスと言えばいいのか、デザインもサイズ感も似合っていてますます可愛い。 圭くん、顔立ちの割に意外と背高いのに、俺と夏月が大きいから小さく見えちゃうな。 倉科さんも背が高いから、圭くんって小さいイメージあったけど、よくよく見たら170cmくらいはありそうだ。 「お腹すいたー!何食べる?」 「今見てたんだけど、美味しそうなところ多くて…」 「じゃあ消去法にしようよ!俺昨日パスタ食べたからイタリアン以外で!」 「綾人さんが病み上がりだから刺激物は避けたいです。」 「ふむふむ。じゃあ和食なんかどう?」 圭くんの提案に俺と夏月も納得する。 ランチは最近人気の定食屋にすることになった。 ボックス席に案内され、夏月は俺の隣に、圭くんは俺の向かいに座った。 「ありがとね。」 「何が?」 「今日一緒に来てくれて。」 「全然。寧ろ俺も明日からの社員旅行に着ていく服とか見たかったし。」 「本当?よかった。」 圭くんはほっとした様子で笑ったけど、なんだか表情が暗い。 心配で少し深掘りして聞いてみた。 「今日、倉科さんは?」 「あー…、うん。ツケが回ってきたというか…。」 「ツケ?」 「最近透の誕生日だったんだよね。だから透、一週間くらい休みとってくれてて、その間ずっとそばに居てくれたんだ。仕事始まっちゃったから急に寂しくなっちゃって…。」 「そっか。それは寂しいね。反動で余計に…。」 夏月と一週間もイチャイチャして、その後急に一緒にいる時間がなくなったら寂しいと思う。 気持ち分かるなぁ…。 頷いていると、隣から衝撃がきた。 「綾人さんっ!俺はずっとそばにいます♡寂しい思いはさせませんよっ♡♡」 「痛ぇ…。」 「あー、でも俺に会いたいってシュン…としてる綾人さんもアリかも……。全然アリですね!」 「痛い痛い。」 抱きつかれて頬擦りされて、正面に座る圭くんは我が子を見守るような微笑みで俺たちを見ていた。

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