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第1013話
そのあと夏月が戻ってきて、軽く休憩してから3階も見て回り、16時頃にお開きすることになった。
「今日は本当にありがと!楽しかったー!」
「こちらこそ。圭くんの気分転換にもなってよかった。」
「今日買った服、透が帰ってきたらお披露目会しよーっと♪じゃあまた遊んでねー!バイバーイ!」
圭くんは可愛らしい笑顔で手を振りながら、改札を通っていった。
圭くんの姿が見えなくなってすぐ、夏月は俺の手を繋ぐ。
「どうした?」
「ここからは俺と二人の時間だなーと思って。」
「っ!」
二人きりなんて同棲してるんだからいつも通りのことなのに、こうやって意識させられると緊張する。
しかもまだ外だし…。
早く家帰って、本当に二人きりの空間に行きたいな…。
「夏月、帰ろ…?」
「はい。」
手を引くと、夏月は口元の弛みを隠しきれず、嬉しそうに返事した。
電車に乗って最寄駅に着いて、人がいないことを確認して腕を組んでみたりして。
「アップルパイ買い忘れましたね。」
「そんなのもういい。」
「わっ…?!」
エレベーターに入って、待ちきれずにキスをした。
「ふふっ…。あと少しなのに?」
「悪い…。待ちきれなくて…」
「俺も。」
「んぅ…♡」
顎を上げられて、食べられるみたいなキスをされる。
夢中になっていると、ポーンという音とともにドアが開いた。
あっぶな…。
誰もいなくてよかった……。
現実に戻されて、心臓バクバクさせながら家の鍵を開ける。
「綾人さん、おかえり♡」
「ぁっ…ん、ただいま…っ」
さっきの続き。
わざとクチュクチュ音を立てる夏月は意地悪だと思う。
気持ち良すぎて力が抜けそうになる俺を、夏月は両手で俺の尻を掴んで抱き寄せた。
「んっ、やぁ…」
「お尻嫌?」
「ふっ…ぁ、聞かないで…っ」
「いいんだ?可愛い。」
時々揉むように刺激されると、感じてしまって夏月を抱きしめる手に力が籠る。
ビクビク身体を震わせていると、夏月が唇を離して俺の目をじっと見つめた。
「夏月……?」
「なんでこんな可愛いの?」
「へ…?」
「あー…。明日連れて行きたくないな…。社員旅行休みませんか?京都は今度二人で行きましょうよ。」
「え…。でも……」
「蛇目と同じ部屋とか俺無理…。綾人さんと同じ空気吸って欲しくない。俺だけの綾人さんなのに。」
独占欲…?
嬉しい…。嬉しい…けど……。
「社員旅行は……行きたい……。」
「…………」
「俺は何があっても夏月だけだし、蛇目にちょっかいかけられないように自分のことも守るから。夏月に心配かけてばっかりさせないようにするから。だから……」
夏月を抱きしめて自分の気持ちを伝えると、夏月も俺を抱きしめ返して、優しく唇にキスを落とした。
「ごめん…。子どもみたいなわがまま言った。綾人さんの自由を奪いたいわけじゃないのに…。」
「いや、そんなこと…」
「あーーーっ!ほんとすみません!今の忘れて!」
夏月は俺の肩に顔を伏せた。
表情が見えない…。
よしよしと夏月の髪を撫でると、ちらりと顔を見せてくれる。
「やっぱりわがまま言ってもいいですか…?」
「ん。どした?」
「キスマークいっぱい付けてもいい…?」
「ふふっ…。去年もだったじゃん。……いいよ。好きなだけ付けな。」
風呂に入ったあと、夏月は俺の身体が人に見せられなくなるくらい、全身を唇で愛撫した。
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