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第1029話

中は数人が使えるくらいの狭い脱衣所と、浴室へ続く扉があった。 貸切風呂なんて、普段ファミリーやカップルしか使わないだろうから大きさはこんなものだろう。 服を脱ぐと、びっしり付けられた夏月の愛の証が露わになる。 「やっぱ恥ずいな、これ…。」 「俺の征服欲はすげー満たされてますけど♡」 「あんま見んな…。」 タオルで前を隠すと、夏月はくすくす笑いながら先に浴室へと行ってしまった。 俺も追いかけるように中に入ると、檜の浴槽にたっぷりのお湯が溢れ出していた。 頭と体を洗い、湯船に浸かる。 「あぁ〜………。気持ちいい…………。」 じわぁ…っと温かいお湯が体の中まで浸透していく感じがして、今日一日の疲れが吹き飛んでいく。 体を洗い終えた夏月が俺の隣に座る。 2人分の体積で、ザバンッとお湯が溢れ出した。 「気持ちいいですね〜………。」 「うん。美肌の湯なんだってさ。」 「え〜?試しに触っていい?」 「ちょっ…!なんで俺を触るんだよ!自分の腕とか触れよ!!」 太腿へと伸びる夏月の腕をペチンッと叩く。 けど、そんな弱い抵抗で夏月が止まるわけもなく、大きな手のひらが俺の太腿に触れ、そのままお尻へと移動する。 「夏月…っ、ダメだってば…」 「本当にダメだって思ってるなら、俺のこと殴ってみてよ。」 「そんなことできな……、んっ、ダメ…っ」 抱き寄せられてお尻揉まれて、声が出ないようにキスで唇を塞がれる。 やば…。気持ちいい……。 硬くなり始めた中心を夏月のお腹に押しつけたところで理性が働く。 ダメだ!社員旅行中…!! 「ダメだってば!!」 「うわっ?!」 両手で胸板を押し返すと、まさか抵抗されると思っていなかったらしい夏月は簡単に湯船にひっくり返った。 俺は慌てて夏月に手を伸ばすと、グイッと引っ張られて俺も顔から湯船に飛び込んだ。 鼻にお湯が入って、ツーンとした痛みが走る。 「いっってぇ〜……!!」 「あはは!おあいこですよ!」 「何がおあいこだ!元はと言えばお前が約束……、っ」 怒っていたのに、いつのまにか唇が重なっていた。 すぐに離れていって、きょとんとしていると、夏月はニコッと笑う。 「仲直り♡綾人さん大好きっ!」 「も〜……。怒れないじゃん……。」 「怒られたくないもーん。」 夏月って甘え上手…。 かわいい。許しちゃうだろ、こんなの。 「夏月…、キスだけなら許す。」 「ん〜。もう一声!」 「………いっぱいキスして。」 「はーい♡♡」 夏月は俺の扱いが本当に上手だ。 年上らしく振る舞いたいのに、そんなとこ一つでも見せられたことあっただろうか? なのに、夏月はそのまんまの俺がいいと、そう言ってくれるから。 「夏月、愛してる。」 「えへへ。何回聞いても照れますね…。俺も愛してますよ、綾人さんっ♡」 「んっ、夏月…。好き…」 抱きしめ合いながら、何度も唇の柔らかさを確かめ合うみたいに重ね合わせて、のぼせそうになったタイミングで夏月に抱えられて風呂を出た。

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