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第1034話

ぐぎゅるる……。 腹の虫が鳴く。 朝ごはん食いてえな…。 夕食逃したし、せめて朝くらいは…。 「夏月…」 「ん……。みんなは……?」 「朝ごはん食べに行ったよ。」 「んん……。」 動かぬ頭でも二人きりということは分かったのか、布団の中に引きずり込まれる。 抱きしめられ、何回もキスをくり返される。 寝ぼけてる夏月可愛いな…。 「まだ寝とくか?俺も朝ごはん行こうと思ってるんだけど。」 「………やだぁ。」 「夏月の分ももらえないか、旅館の人に頼んでみるからさ。」 「俺も行くぅ……。」 本当に行けるのだろうか? 食ってる途中に寝そうじゃね? 寝起きの城崎くん可愛い〜とか言われて、ギャップで株上がりそうじゃね? なんかやだな…。 「ダメ。」 「え〜……。」 「ちゃんと起きるなら一緒に行こ。寝ぼけてるなら部屋から出ちゃダメだ。」 「ん〜………。起きる……。」 夏月はもぞもぞとしながらも布団から出てきた。 目の下にクマできてる。 本当に大丈夫なのかな…。 「寝てていいのに。」 「綾人さんと一緒にいたい…。」 「食べたらすぐ戻ってくるけど。」 「心配だから……。それに荷物取りに部屋戻るでしょ?」 「まぁ、うん…。」 「だから余計にダメ。あいついるかもだし。」 あいつって…。 きっと蛇目のことだろう。 なんでそんなにも警戒してるのか…。 さすがに社員旅行で何かしてくるとは思えないんだけどな。 ましてや蛙石もいるし…。 「心配しすぎ。大丈夫だよ。」 「もう起きた。俺も行く。」 「本当か?マジで無理するなよ?」 大丈夫だと言い張る夏月と一緒に部屋を出た。 朝食は和食ビュッフェだ。 好きな量ご飯と味噌汁を取って、あとは小鉢を選んで席に着く。 「あー!望月さん、城崎さん!もう俺たち食べ終わっちゃいましたよー!」 「おはよ。先に出発してて。俺たちはゆっくり出るから。」 「えー。一緒に回りたかったですけど…。」 「悪い。」 「わかりました!じゃあ今度飯連れてってください!」 ちゅんちゅんはご機嫌にみんなと一緒に部屋に戻っていった。 にしても、夏月大丈夫か…? いつもなら「煩い。」って一蹴してそうなのに、無反応…。 「いただきます。」 「いただきます…。ん、美味い……。」 ゆっくり咀嚼して食べ始めた。 心配しすぎだろうか? まぁ食ってるし大丈夫か。 俺も手を合わせてから米を口に入れる。 「うま。」 「ね。甘いですよね、お米。」 「うん。夏月これ取った?」 「どれ?……取ってない。一口ください。」 「いいよ。」 お互い取った小鉢を分け合いながら、おかわりもしてお腹いっぱいで部屋に戻った。

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