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第1036話
「んっ…、は…♡」
「綾人さん可愛い…。」
「んぅ♡ぁぅ…♡」
布団に押し倒されて、いっぱい舌で責められて、もっともっとと夏月を求めてしまった。
その結果、時刻は10時半。
チェックアウトまであと30分だ。
「めちゃくちゃ可愛いんですけど、さすがにそろそろ着替えましょうか…。」
「夏月…♡」
「仕方ないな。最後ですよ。」
"最後"
寂しいこと言わないで欲しい。
でも実際に時間は迫っていて、これを最後にそろそろ旅館を出ないといけないことも分かってる。
口内に入ってきた夏月の舌に絡めて吸うと堪らない気持ちになった。
「はい、終わり。あとは家帰るまでお預けです。」
「わかった…。」
「も〜〜!そんな可愛い顔してたら、全人類が綾人さんのこと狙っちゃうじゃないですか!!」
夏月はプンプンと怒りながら、バッグから着替えを出す。
俺も持ってきた服に着替えると、夏月は俺を見て一瞬動きを止める。
「綾人さん、その服……」
「あ…。えっと…。やっぱり似合わない…かな…?」
「え、可愛いです。すっげー可愛い。なんで?綾人さん欲しかったの?」
俺が着たのは、圭くんと買い物に行った時に最後に買ったふわふわの服。
夏月がいない間に内緒で買ったから、不思議に思ってるんだろう。
欲しかったかどうか?
別にデザインが特別気に入ったわけじゃない。
夏月が…。
「夏月に触ってほしくて…」
「えっ?!」
「ほら…、夏月が圭くんに言ってたろ?倉科さんが離さないんじゃないかって…。それって、夏月がそう思わないとその感想出てこないんじゃないかって思って…。だから、その……」
「俺に触ってほしくて買ったの…?」
期待した目でそう問われ、こくんと首を縦に振る。
すると、物凄い力で抱きしめられた。
「何それ!?可愛すぎるんですけど!!」
「痛い!いたたた!」
「綾人さん可愛すぎて死ぬ!!気持ちいい!綾人さん可愛い!!」
「わかった!わかったから!」
「愛してます!好きすぎて無理!!!」
「わかったから力緩めろ!」
必死に訴えると、やっと力を緩めてくれた。
でもずっと俺を抱きしめて、服に顔を埋めている。
「出なきゃまずいんじゃねぇの…。」
「あと10分ある。それにこれに関しては綾人さんが悪い。可愛すぎるもん。」
「…………」
「帰ったら覚悟しててくださいね。マジで愛おしすぎて無理。」
「抱くの…?」
「当たり前でしょうが。」
チェックアウトギリギリまで抱きしめて頬擦りされ、11時にやっと旅館を出発した。
今日は二人で伏見稲荷に向かった。
有名な千本鳥居を見て楽しみながら、約2時間かけて一周した。
夕方には京都駅へ向かい、みんなと合流して新幹線で東京に帰る。
歩き疲れた俺は、帰りの新幹線で夏月の肩に頭を乗せて爆睡していた。
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