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第1043話

明日は休みだから、今日は夜通し抱かれるんだろうな…。 たしかアレが残り少なかったような気がする。 甘い妄想をしながら、ドラッグストアに寄り、いつも使ってるコンドームを手に取った。 夏月も買ってきたりして…? 勝手に想像して顔が熱くなって、周りにバレないように下を向きながら購入し、早足で帰った。 家に着いてスマホを見ると、母さんからの着信履歴が残っていた。 珍しいと思いかけ直すと、すぐに繋がった。 「もしもし。母さん?」 『綾人!ごめんね、忙しいのに。』 「ううん。どうかした?」 『それがね、大翔がお昼頃に、急に東京に行くなんて言って出て行っちゃって…。綾人のところに行ってないかしら?』 「えっ?!」 大翔が家出…?! つーか、東京?!! 「ごめん、母さん。俺仕事で今家に帰ってきたとこで…。それに夏月と同棲してる家は大翔に教えてなかったと思うんだけど…。」 『じゃあ家には来てないってことよね…。どうしよう。さっきから電話かけてるけど繋がらなくて…。』 「俺からも連絡取ってみるよ。」 『ごめんね。最近あの子、様子がおかしくて…。連絡取れたら、話聞いてあげてくれる?』 「うん。母さんもあんまり気に病まないようにね。」 『ありがとう。よろしくね。』 母さんとの通話を終え、すぐに大翔に電話するが繋がらなかった。 電源が切れているか、電波の届かないところにいるか。 後者だと思いたいが、おそらく前者だろう。 このだだっ広い東京で、いったいどうやって見つければ…。 大翔は可愛くて真面目で、それにまだ高校生だ。 嗚呼、もし歌舞伎町みたいな危ないところに迷い込んでいたらどうしよう……。 「ただいまー。」 玄関の方から鍵が開いた音がして、急いで向かう。 頭が混乱してどうすればいいか分からなくて、夏月に頼りたい。 夏月なら何とかしてくれるような、なんかそんな気がして…。 「夏月!!どうしよう!?大翔がっ!!」 「あー……。さっき拾ってきました。」 「え……?」 夏月の後ろからひょこっと顔を出したのは、可愛い可愛い俺の弟……。 「大翔っ?!」 「兄さん!!」 今から探すはずだった弟の姿が、何故か今ここにある。 どうして夏月が? 大翔を抱きしめながら夏月を見上げると、苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てた。 「帰り道、ドラッグストア寄ったら、近くでガラの悪い大学生に絡まれてたんです。まさかとは思ったけど、見覚えある顔だったんで声かけたら本物でした。」 「夏月!!ありがとう!!本当にありがとうっ!!」 「っ…///」 夏月に抱きつくと、夏月は少し頬を赤らめて俺を優しく抱きとめた。 やっぱり思った通りだった! 夏月なら何とかしてくれるって…。 「好き。大好き。本当にありがとう。格好良い。惚れ直した。」 「あ、綾人さん…。照れるから…。」 「ほら、大翔もお礼言いな?」 「ありがとうございました…、城崎さん…。」 おお。名前呼んでる。 感動だ…。 少し不貞腐れている大翔の頭をよしよしと撫でた。

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