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第1062話

午後も全力で仕事。 おかげで涼真の力を借りずとも定時までにやること全て終えた。 「お疲れ様でした!」 「早っ!急いでどうしたの?彼女?」 「まぁそんな感じです!じゃあ!」 同僚に揶揄われるのを軽くいなし、早足で退社して電車に駆け込む。 あ、そうだ。 スーパー寄らないと、冷蔵庫食材切れてた気がするな…。 早く帰りたいのに。 そう思いながらも、家で待ってる二人のために食料は必要で、電車に乗りながら何を作るか考え、帰り道にあるスーパーで必要最低限を買ってから家まで走った。 「ただいま!」 「綾人さん!おかえりなさいっ!」 家のドアを開けると、夏月が俺に向かって飛びついてきた。 帰ってくる時間予想されてた? それともまさか…。 「もしかしてずっと待ってたのか?」 「はいっ♡」 「………ありがと。大好きだよ、夏月。」 顔を上げると目が合って、自然と唇が合わさる。 角度を変えてもう一度重ねると、後ろから「ちょっと。」と声がしてビクッと体が跳ねた。 「僕もいるんだけど。」 「大翔…っ!」 「兄さんに気安く手を出すな、(けだもの)。」 「はぁ?それがさっきまで懇切丁寧に勉強を教えてあげてた大先輩に対する口の聞き方か?」 「うっわ〜。恩着せがましい!おじさんってこうだからムカつくよね。」 「誰がおじさんだって?もう一回言ってみろ、潰すぞガキ。」 ちょ…、待って…? 関係悪化してない?? 「大翔…、さすがに口悪い。」 「兄さん!そんなのこいつだって潰すとか酷いこと言ってきます!!」 「向こうが先でしょ。俺まだおじさんじゃないし。」 「二人とも仲直りしよ?ごめんなさいは?」 「「……………ごめんなさい。」」 あんなに言い合ってたけど、俺の言うことは聞いてくれるらしい。 嫌そうだけど、二人ともちゃんと謝った。 「俺も変なとこ見せてごめんな。気分悪かったろ。」 「そんなことないです!おかえりなさい、兄さんっ!」 「うん。ただいま。」 大翔の頭をよしよし撫でると、嬉しそうに擦り寄ってきた。 我が弟ながら、可愛すぎる。 どちらかを可愛がるとどちらかが拗ねるの、どうにかならないものか。 大翔が勉強しに部屋に戻ったのを見送ってから、不貞腐れてる夏月を抱きしめた。 「何拗ねてんの。」 「綾人さんが大翔くん贔屓だから。」 「どこがだよ?おまえのために超急いで帰ってきたんだけど。」 「う〜……。好き。大好き…。」 夏月は俺の肩に額を乗せ、ぐりぐりと擦り付けてきた。 大翔と同じように頭を撫でてやると、動きが止まる。 「どうした?」 「綾人さん、もっとキスしたい。」 「あー…、うん。俺もしたいけど……。」 さっきのことがあるしな…。 そう思って気が進まないのは夏月にはお見通しだったようで、腕を引かれて夏月の部屋に連れ込まれる。 「ここならいいでしょ?」 「……うん。キスして、夏月。」 「やった♪愛してます、綾人さん♡」 時間を忘れてキスに没頭していると30分以上経っていて、俺は慌てて夕飯の支度をしにリビングへ向かった。

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