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11話 決着

 誰も来ないのを確認して男はにやりと笑った。  だからといって油断しているわけでもなさそうだった。  蔵之介は息を飲んだ。これで戦いは終わりなのか?自分はこの男の餌食になり、死ぬんだ。  確信ではない、あいまいな気持ちのままそう思いきゅっと目を閉じた。  すると、急にガサっと言う音が近くで聞こえた。目を開いて見ると、目の前で木の葉が舞っている。地面から現れた白い髪の男が、巨体を打ち上げた。  突然のことに反応は遅れたが、バードイートも躱そうと体をひねる。  見上げると白い髪の男は巨体を牙でとらえた。 「えっ」  昔動画で見たことがある、地面に隠れて獲物を狩る蜘蛛。動きはそれだった。  時間にして秒もない。白い髪の男は牙をはずし、巨体を足蹴に木の枝に飛び移った。  巨体は蔵之介の目の前に落ち、蔵之介に手を伸ばす。しかしがくりと手を落とし、動かなくなった。  白い衣の男はまだ周りを警戒し、木の上から動かずにいた。  何度かあたりを飛び回り、糸を張っているのが見える。  糸は木から木へ張り巡らされ、その間にさらに糸がはられて行く。さすが人サイズの蜘蛛と言える大きさの蜘蛛の網が張り巡らされていく。それは一般的に見られる蜘蛛の網とは違い、格子状で魚を取る網のような作りだった。それがぐるりと蔵之介の各方位に張り巡らされた。  糸を張り終えると地面に降りサクサクと葉を踏む音が鳴った。その音はうしろから近付いてくる。  頭だけ振り返り見ると、白い長い髪をなびかせ、口元を指でぬぐった。そこから蜘蛛の糸が線を引き、キラリと光った。  「他愛もない」  そう呟くと、囚われた蔵之介の脇に立つ。体に絡まった糸をほどくと、蔵之介は軽くふらりと体を崩しそうになる。白い衣の男はそれを受けとめ、支えた。 「もう一匹いると思ったんだが。君を木の下までおろしたのは誰なんだ?」  顔を上げると白い衣の男の顔が目の前にある。先ほど木の上に連れていかれた時と同じ綺麗な顔がそこにある。男と目が合うと彼の目は細まり、口元は微笑みを浮かべた。その瞳に心を惹かれるがはっと我に返る。 「あっ、えっと、誰なんでしょう……!?」  蔵之介は慌てて男から離れた。  蔵之介を地面に下したのは誰だったのか、あれはなんだったのか。蔵之介にも見当もつかなかった。  蔵之介はハッとして体を見ると、帯が緩み衣は肩からかかってるだけだった。ほぼ脱げてい状態で、前ははだけていた。 「うわっ」  慌てて隠そうと衣の前を合わせる。

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