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19話

ビアンカは驚いて蔵之介を見つめた。そのうえこのビアンカはよく見つめてくる。何かと見られている気がして見ると大体見られていた。即位式の時も。 蔵之介はビアンカと目が合い顔が熱くなるのを感じ、首を横に振った。 「いえ、やっぱり。なんでもないです!今のも忘れてください!」 蔵之介は恥ずかしくなり両腕で顔を隠した。 これ以上話してたら余計に恥ずか死ぬ。何とか話を変えたい。というか話を終わらせたい。と蔵之介は考えをぐるぐるめぐらせていた。 「あ、あの、移触針を使わないってことは子供は作らないんですか?」 考えをめぐらし過ぎて、また墓穴を掘る質問をしてしまったと蔵之介は固まった。 しかし、もうどうすることも出来ず、落胆した。 「あの、ごめんなさい……」 これ以上ないほど蔵之介の顔は赤くなっていた。 百面相する蔵之介を見てビアンカは「ふっ」と吹き出し笑った。 「君は可愛いな。恥ずかしがりながらも僕たちに興味を持ってくれているのは嬉しい。僕の口から聞きたいかな?それとも同世代のゼノスから説明されたい?」 ビアンカに顎を引かれ顔を寄せられる。目の前にビアンカの瞳。触れそうな距離に唇がある。その状況にパニックになり、蔵之介は熱を上げ意識を失った。 「おい、蔵之介!?」 倒れて湯気が出そうなほど熱くなった顔をビアンカは優しくなでた。 「どうかされましたか?」 片付けを終えたゼノスが歩み寄る。 「からかい過ぎてしまったようだ」 ゼノスは蔵之介の様子を伺う 「顔が赤いですね。熱があるのでしょうか?」 「確かに顔が熱い」 ビアンカは蔵之介のおでこに、自分のおでこを当てた。熱がじかに伝わる。 「人間はこういう時、濡らし冷やしたタオルをおでこに当てるそうです」 ゼノスがいうと、ビアンカはおでこを離した 「そうか、じゃあ頼む」 ゼノスは「はい」と返事をして奥の部屋からぬれたタオルを持ってきて、おでこにそっと乗せた。 ビアンカは心配そうに蔵之介を見て、胸元をはだけさせた。胸元を撫で、そこに粘り気のある糸を貼り、その上から粘着力のない糸が張られた。 「これで心音が乱れれば僕に伝わる。何かあればすぐに呼んでくれ、連絡も怠らないように。僕はやらなければいけないことがある。後のことを頼む」 「はい。お任せください」 ゼノスは頭を下げた。

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