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20話 ビアンカへの気持ち
ビアンカは部屋を出ると形相を変えた。
「キーパー状況は?」
どこに顔を向けるわけでもなく、その場でビアンカは聞いた。呼ばれるとキーパーは天井から姿を現し、床へと降りた。
「昨日、ここを通ったものは居ないという情報です。私自身も感知しておりません。しかし、先ほどのスペルマウェブから遺伝子情報を調べればすぐに犯人は特定できるかと」
「鑑定に回したのか?」
「既に、ゼノスから受け取り他のキーパーが調べに入っています」
「分かった。特定を急ぐよう指示をしてくれ、あと、蔵之介の部屋の窓全てに網を張っておけ。以上だ」
「はっ」
キーパーは頭を下げ、天井へ飛び、溶け込むように姿を消した。
ビアンカは蔵之介の部屋の前に蜘蛛の巣を張り、その場を後にした。
蔵之介は目を覚ますと、おでこに冷たいタオルが乗せられている。
胸元が暖かい。胸元を撫でると、少しざらついていた。
「お目覚めになりましたか」
ゼノスが気付きおでこのタオルを取った
「ご安心ください、それはビアンカ王がつけた治癒糸です。その糸は体と心を癒します。心音はビアンカ様に伝わり、問題があればすぐに駆け付けてくれます」
ゼノスがベッド脇の桶で、タオルを洗い絞った。
「心音が?……なんだか恥ずかしいな」
蔵之介は寝ころんだまま苦笑した。
「なぜです?何かあれば伝わり、助けに向かうことが可能なすごい能力ですよ」
「そうかも知れないけど、心音って聞かれると恥ずかしいだろ?」
ゼノスは首を傾げた。
「よくわかりません。なぜ恥ずかしいのですか?」
「んー」
と蔵之介は、ゼノスの方へ寝返りを打つ。
いざなぜ恥ずかしいかと聞かれると説明が難しい。
「例えば、人を好きになると心音が早まるだろ?」
「そうなんですか?」
キョトンとするゼノスに少しホッとしていた。自分の心配事がたわいもない事の様に想えたからだ。
「そうなの、それで誰を見てるかで誰が好きなのかバレるんだよ。それで恥ずかしい」
「誰かを好きになるがそんなに恥ずかしいことなのですか?」
ゼノスはまるで理解ができないといった目で蔵之介を見ていた。
「ゼノスは好きな人いる?」
「はい、ビアンカ王のことはお慕いしております」
「えっ」
蔵之介は驚いて起き上がる
「それってどういう風に?」
「私は地下牢に閉じ込められ、食事も与えられず、生きるか死ぬか自分で選択しなければならない状況にいました。その時、ビアンカ様が、いえ、ビアンカ王がお助けくださいました。
当時の私は煤汚れ、全身黒く染まっていました。
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