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21話
同意種だから助けられたのかと思いましたが、洗われて私を白い蜘蛛だと気付き、驚かれていました。どの種でも見境なく助けてくださる方です。私はそういうビアンカ王の寛大なお心に引かれております」
ゼノスは淡々と、しかし少し嬉しそうに話した。
「そういうことか」
と蔵之介はほっとした。
同時にほっとしている自分に疑問を覚えた。
なぜ僕は慌てて、安心しているんだろう?
胸元を触るとざらりとした蜘蛛の糸の感触。
それに触れるとドキッとした。
こうやって動揺したり、安心してるのもビアンカに伝わってしまうのだろうか?
「でも話すとビアンカ王とは同種ではなく別の種でしたが。」
ゼノスがそこまで言うと、ドアがノックされた。
「僕だ、蔵之介は起きているか?」
ビアンカの声。それに胸が高鳴る。心音を聞かれたくない、沈まれ僕の心臓!と蔵之介は枕に顔を伏せた。
ゼノスが返事をしてドアを開け、ビアンカを招き入れる。
「蔵之介、大丈夫か?」
「大丈夫です」
蔵之介はビアンカの顔を見れず、布団に突っ伏したままだった。
ビアンカは顔を伏せる蔵之介を見て頭を撫でる。
「なら顔を見せてくれ」
蔵之介の胸はきゅっと締めつける。
胸が痛い。なんで?
「先ほどから心音がおかしい、どこか具合が悪いのか?」
「大丈夫です」
「先ほどと同じ答えだな。そんなに僕に信用が置けないか?」
「ちっ、違います!」
蔵之介は飛び起きてビアンカを見た。
ドキドキするのが恥ずかしくて、それがビアンカに伝わるのも恥ずかしくて。
顔が熱くなる。そして思わず顔を伏せてしまう。
うつむく蔵之介をビアンカは抱きし寄せた。
「すまない、先ほどはからかいすぎた」
「大丈夫……です」
胸のドキドキが止まらない。シーツをぎゅっと握りしめる。こんなのおかしいって自分でも分かってる。こんな気持ちは初めてだった。
なぜこんなにビアンカを意識してしまうのか分からない。
「そうか、分かった」
ビアンカは納得したようにそういうと、蔵之介の胸元をはだけさせる。いきなりの事に蔵之介は驚き動けずにいた。
ビアンカは蔵之介の胸元を撫で、糸を取り払った。
「んっ」
くすぐったさに蔵之介は声を漏らした。目をつむり顔をそらす。
「これでどうだ?」
ビアンカに聞かれ、ゆっくり目を開けた。
ドキドキしていた心音が落ち着いていく。
「寝ているときは安定した心音だった。起きると乱れ始めた。僕の声や姿を見てさらに乱れていた。多分、糸が効きすぎて僕を意識しすぎていたんだ。用量を考えないといけないな」
ビアンカはそういって立ち上がる。
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