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22話 蜘蛛の世界での食事

先ほどのドキドキはビアンカを自分が意識してのものではなかった。 ビアンカへの想いは一時的なもの。 蔵之介はため息をついた。しかし、少し寂しさを感じる。 この気持ちはどういうものなのか、今の蔵之介には理解しきれなかった。 「食事の準備が出来てる。お腹はすいてないか?」 考えると、お昼の学校の給食から何も食べていない。どれくらい時間が経ったのか分からないけど、と蔵之介はお腹を撫でる。 「すいてます」 では行こう。 寝ている間に乱れた服をゼノスに整えてもらい、蔵之介はビアンカと共に部屋を出た。 部屋を出ると外は暗く、城の中を所々照らす明かりが揺らめき輝いていた。見慣れない建物と明かり、装飾、衣装、部屋でも感じたがまるで異世界にでも来たような感覚だった。食事も普段食べてるものと少し違うのかもしれない。空腹もあり食事への期待が高まった。 しかし食事のテーブルにつくと、蔵之介は並んだ食事を見て顔をひきつらせた。 「あの、これって」 食卓に並んだものは揚げたものから触覚が出ていたり、芋虫のようなものが入ったスープ。 ガの形の残った何か。串にささったムカデ。何か炒められたものと、白い塊。他いろいろ。 「お、お米とかないですか?」 「米?知っているか?」 ビアンカがゼノスに聞く。 「人間がよく食べる穀物です。ここでは食べられてないので、入手はできませんでした」 ゼノスが答えた。 「よく食べるものなら、そちらの方が食べ慣れているだろう。何とか手に入らないか?」 ビアンカはピーに聞く。 「それには人間界に行く必要があります。さらに言えば人間界のお金、通貨が必要です」 ピーに言われビアンカは考えをめぐらせる。 「人間界の通貨を手に入れるのには手間がかかる、すぐの入手は困難か」 ビアンカは考え、蔵之介に目を向ける。 「とりあえず、この中で食べられそうな物はないか?」 ビアンカに言われ、蔵之介は見回す。 「これは?」 白い塊を指さした。 「それはチーズです」 ゼノスが言うと、蔵之介はホッとしてお皿を寄せた。 「これなら食べられるかも」 そういうとビアンカも安心したようにほほ笑んだ。 蔵之介は、チーズを切り広げると、中からチーズがとろけ出てきた。 「あ、おいしそう」 そしてその中から、うじゃうじゃと虫が湧き出てきた。 「!!!!!????」 言葉にならない叫びと共に後退った。同時に椅子が倒れガタリと音を立てた。 「な、な、な、なにこれ!?」

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