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24話 侵入者

迷いながら部屋の中に何かないかと探していると、一匹の蜘蛛が天井から降りてきた。 「あ」 蔵之介は蜘蛛に手を伸ばし、手のひらの上に乗せた。家の中によくあらわれる黒い家蜘蛛だ。 「ここにもこんな蜘蛛が住んでるのか」 蔵之介は蜘蛛を手のひらに乗せたまま、窓に向かった。家の中に蜘蛛が居たら外に逃がす習慣があった。母親に見つかれば殺虫剤で殺されてしまうからだ。 窓を開けようとしたが外から何かで止められているようで開けられない。 「そういえばゼノスが窓は閉められてるって言ってたかも」 蔵之介は仕方なく、ドアの方へ向かう。 外に出て良いものか迷ったが、ドアを開けるくらいなら大丈夫だろう。 ドアをそっと開けた。しゃがんで手のひらに乗せた蜘蛛を床の上に離す。 「随分おとなしいな」 家で見ていた蜘蛛は大体飛び跳ねて逃げようとしていた。しかしこの雲は違った。 すると次の瞬間その蜘蛛から糸が飛ばされる。 「蔵之介様!?」 誰かの声が聞こえたが、目の前を糸に覆われ何も見えなくなった。 「うわっ、なにこれ!?」 糸を取ろうとするが、顔に張り付いて離れない。 「蔵之介様ドアをお閉めください!うわっ!」 声の通り、ドアを閉めようと手探りでドアを探しドアに触れると、勢いよくドアが開けられた。 蔵之介はびくっとして縮こまる。その体をすぐに持ち上げられた。 「わっ、やだ!なんだよ!?」 どこかに移動しているのが分かる。抵抗をしようとしたが、手足を糸で縛られたのか身動きも取れなくなった。 戦いよけながら動き回っているのが分かるがどこにいるのかは全く分からなかった。 急に体が浮く感覚があり、ジャンプしたのが分かる。しかし 「蔵之介!」 その声が聞こえると同時に、体が宙に浮いた。 「え、うわっ!わ、わぁぁぁぁ」 何も見えないまま重力が働き体が落下してくのが分かる。 落ちてる、落ちてるこんなの確実に死ぬ! 「やだぁぁぁ!!!」 蔵之介は半分泣きながら叫んだ。しかし、その体はふわりと受け止められ、跳ね上がった。 「うわっ」 落ちた所で何度か体がはねてその場でおさまった。 涙目でぐずっと鼻を鳴らす。 「高いところは苦手だって言ってるのに……」 つぶやき言うと、乗っていた地面が揺れた。その地面は多分蜘蛛の糸だろう。手元に穴があり、動くとトランポリンの様に反動がある。 「蔵之介」 呼ばれる声とともに体を抱き上げられ、手と足の拘束を外された。 そして顔につけられた糸が外される。 視界が開け、目を開けるとビアンカの顔が目の前にある。

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