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27話

「あっ」 蔵之介は声を漏らした。 もしかして、勃ってる? 「蔵之…」 「び、ビアンカ!もう大丈夫だから、あの、俺トイレ!!!」 と慌てて蔵之介は横のドアの中に駆け込んだ。 怪しすぎる行動だけど、そんなことありえない! 慌てて股間に手を当てるが、そこは固くなってはいなかった。 「あ、あれ?」 確かにうずくような感覚があった。けど何ともない。 安心していいのかがっかりした方が良いのか分からず、呆然としていた。 「蔵之介?大丈夫か?」 ビアンカは心配そうに声をかける。 蔵之介はふと前を見ると、そこは風呂場だった。トイレにと駆け込んだ先が風呂場だなんて間抜けすぎる。 蔵之介は、身を縮こまらせドアを開けた。 「大丈夫だった」 蔵之介は顔を赤くしうつむいたままでいた。ビアンカはそれを見てホッとして蔵之介のあたまを撫でた。 ビアンカは蔵之介の背に手を回し、風呂場から連れ出した。 蔵之介は一息をつくが、再び洗面台の前に立たされた。 「まだ何かするの?」 「糸がまだ残っている」 ビアンカはタオルを暖かい湯で濡らし、蔵之介の顔に当てた。 暖かい布に触れられ蔵之介はホッとしておとなしく目を閉じた。 タオルはこすられることなくそっとずらして当てられていく。触れる感覚も優しく安心できた。 顔全体に当てられ、目の周りに残った糸を取り除くように軽くこすられた。 そして、唇に柔らかいものが触れる。 目を見開くと目の前にはビアンカの顔がある。触れているのは唇だった。 急なことに蔵之介は後ずさる。 「あっ、わ、なんで!?」 「蔵之介は可愛いな」 ビアンカはにこにこと笑って蔵之介の頭を撫でた。 「でも気を抜きすぎだよ。だから連れ去られそうになるんだ」 「ごめんなさい」 蔵之介はビアンカの顔を見上げると、ビアンカはほほ笑む。 「それで許されると思ってるのか?」 蔵之介はドキッとして身を縮こまらせる。 「他に何をすれば……」 困ったように言うと、ビアンカは顔を寄せてきた。 「キスして」 そっと唇を撫でるようなささやき声 「えっ」 目の前にビアンカの瞳があり、逸らせず見つめているとドアがノックされた。 「ビアンカ様、いらっしゃいますか?」 ビアンカは目を閉じ姿勢をただした。 「いるよ!」 蔵之介が答え慌ててドアに駆け寄ろうとする。しかし、ビアンカの手が胸元まわり止められ抱き寄せられた。 「んっ」 ビアンカの唇が再び口の柔らかい部分に触れた。 ビアンカは唇を話すとため息をつき、蔵之介を解放した。そしてドアを開ける。 「どうなった?」 ピーがそれに答え、二人が会話しているのが聞こえる。

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