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29話
ピーが言うとゼノスがハッとした様子で言う
「人間は鶏肉を食べると本にありました」
「何の鳥か書かれてたか?」
ビアンカはゼノスに問う。ここでまた間違っていたら元も子もない。
「たしか、鶏だったかと」
「鶏?どんな鳥だ?」
ビアンカがピーに問いかける
「存じ上げません」
「しかし、聞いて頼んでみるしかないだろう」
ビアンカの言葉に、ピーは眉を寄せた。
「でも、頼むとしたらバードイートですよね?」
「そうだな」
「今日の戦いで最後に倒したのは誰って言ってましたっけ?」
ビアンカは「あっ」と声を漏らした。最後に倒した巨体の男。それが鶏肉を取って食べるバードイートだった。
「酷い条件をつけられそうだ」
ビアンカは渋る顔をして、ため息をつく。
倒した相手はバードイートグループのリーダーで、体は他の個体よりも大きく、その巨体にビアンカは噛みつき毒を流し込んだ。致命傷ほどではないが、しばらくは動けないだろう。
「いくらでも出す、頼んできてくれ。早急にだ」
「はい」
ピーは頭を下げ、部屋を出ていった。
ゼノスはビアンカと部屋に残され、頭を下げた。
「申し訳ありません。私の勉強不足でした」
「ピーの言った通り起きたことは仕方ない。我々も何もしていなかった。外の知識が豊富なゼノスに頼んでもこの結果だったんだ。次はもっと基本的な所をとらえて、しっかり調べていこう。戦いも終わったから僕たちも協力できる」
「はい」
ゼノスは頭を下げたまま返事をした。
「ところで」
ビアンカはゼノスの方へと体を向けた。ソファに座るビアンカは横向きに座り、片方の足をソファの上に上げた
「先ほど、食事の前に蔵之介と何を話していたんだ?」
「何をとおっしゃいますと?」
ゼノスは顔を上げた。
「明らかに異常な心音をとらえた。突然血流があがったかと思えば安心したように心音が落ち着いたり。何が影響してああなった?」
ゼノスは一度うつむいて考えた。
「蔵之介様は心音を聞かれるのが恥ずかしいと仰いました。なぜかと問うと、好きな相手がいると心音が早まるからだと。それで好きな人が知られてしまうからだそうです。私にはその意図が分からず、問うと「好きな人は居るか?」と聞かれました。
私は「ビアンカ王をお慕いしている」と答えました。それに大変驚かれて。お慕いする理由を話すと安心されていました」
ゼノスは言い終わるとビアンカに目を向けた。
「そうか、つまり蔵之介はゼノスが僕を好きだと勘違いし、理由を聞き安心したという事か?」
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