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41話
キスなんて今までしたことがなかった。もっと緊張するものかと思っていたけど、ビアンカと森の中でしたのが人生初めてのキスだった。それは優しく、不思議と蔵之介の心を溶かした。
「ビアンカ王、またコバルトブルーが現れたらどうしましょうか?」
姿を隠していたキーパーが再び姿を現す。
「事情は分からないが、蔵之介の食事を運んできてくれるのなら無理に捕まえる必要はない。しかし警戒は怠るな。あと、隙があれば話を聞き入手先や方法を聞きだせ。必要なら対価も支払っておいてくれ」
「承知いたしました」
キーパーは頭を下げ姿を消した。
「蔵之介、コバルトブルーの事だがどんな関係だったんだ?」
蔵之介は満腹になり、ビアンカの腕の中でうとうとし始めていた。
「んー。前に森の中で弱ってるのを見つけたんだ。海(ウミ)って名前をつけて家で飼い始めて、最初は親に隠して飼ってたんだけど……。湿度とか、温度管理するのに電気代かかってて、バレちゃって」
蔵之介はビアンカに甘えるように腰に手を回した。ビアンカはそれを見て蔵之介の頭に頬を寄せる。
甘えられる存在が居る。それがこんなに癒されるとは思わなかった。蔵之介は心が暖かくなるのを感じ、言葉を続けた。
「しばらくは文句を言いながらも置かせてもらってたんだけど。ある日、母さんが僕をたたいたんだ。その勢いで倒れそうになって、海の入ってたケース落ちて開いて、逃げ出して。そしたら海が一目散に母さんの方に走って行って腕に噛みついたんだ。
噛んだ後すぐに離れたけど、母さんは毒でしばらく体痛めちゃって。海を処分するって。
コバルトブルーは毒性強いから痛いだけで済んでるのは手加減してくれてるかだって言ったのに。みんな分かってくれなくて。
急いで森の中に離しに行って。それからどうなったのかは分かんない。
元気にしてるといいけど……。普通の蜘蛛ならもう死んでるのかもしれない……」
蔵之介はそのままうとうとまどろみに入り込んだようだった。
「だとすると、スペルマウェブの犯人の可能性は低そうだな」
「そうですね」
ビアンカが言ってピーが頷いた。
「もし海が今回のコバルトブルーだとすると、人間の世界では蜘蛛に擬態できる。それに人間の食事を買ってこれるということは、人として暮らした経験もあるんだろう。なら、味方に引き入れたい所だが……」
ビアンカが言って考えいるように顎に指を当てる。
「あっ、あと」
蔵之介は何か思い出したのか声を上げた
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